公開日 2026年02月06日
77成分・1100品目が薬剤費の25%患者負担
2025年12月19日、自民党と日本維新の会は処方薬のうち市販薬と成分や効能が似ているOTC類似薬について、薬剤費の25%を患者負担とすることで合意した。新たな患者負担については「特別の料金」として徴収することとし、2026年度中に制度の創設と実施を予定している。
子どもやがん、難病、慢性疾患等の患者については負担能力に配慮するとされているものの、対象とされているのは77成分、約1100品目に上り、ムコダイン、ヒルドイド、アレグラなど日常診療で使用される薬剤が数多く含まれている。
この制度が実施された場合、3割負担の患者に1000円の医薬品が保険診療で処方されたケースを想定すると、患者は薬剤費25%として250円を支払うことになる。さらに、この250円は保険診療外となるため消費税10%分の25円も支払う必要があり、「特別の料金」として計275円の支払いが発生する。
残りの750円(薬剤費の75%)にも健康保険の3割負担(225円)がかかるため、自己負担額は合計で500円となる。現行の300円の約1・7倍であり、最終的に薬剤費全体の5割分を負担することになる。
合意文書では、2027年以降、対象薬剤の範囲の拡大や、「特別の料金」の負担割合の引き上げを検討するとしている。

保険診療の根幹を揺るがす政策
日本維新の会は当初OTC類似薬の保険外しを訴えていたが、最終的に「特別の料金」の徴収を行うことで自民党と非公開の場で合意した。
そもそも保険料を支払っているにもかかわらず3割負担以上の給付を求められることは、「医療に係る給付の割合について、将来にわたり100分の70を維持する」としている2002年健保法附則第2条に反する。
これまでも長期収載医薬品の選定療養化や受診時定額負担等、2002年健保法附則第2条に抵触する可能性のある改悪が行われてきたが、今回の「特別の料金」の徴収は既存の選定療養と異なり、保険診療内に他の選択肢すら存在しない。保険診療の制度を根幹から揺るがす政策だ。
医療費の削減に邁進してきた財務省ですら財政制度分科会(2025年11月5日開催)で薬剤費の患者負担徴収について触れ、「2002年健保法附則第2条との関係が問題となるのであれば、その改正も視野に入れ、正面から国民的な議論を喚起すべきではないか」とし、国民的な議論の必要性に触れている。政党間の合意で推し進める政策ではないことは明らかだ。
「特別の料金」の徴収は撤回を
自維の合意文書には現役世代の社会保険料負担軽減を目的とする文言があるが、OTC類似薬の患者負担増で軽減できる保険料は一人あたり月数十円に過ぎないうえ、OTC類似薬の利用者には当然現役世代も含まれる。
世代間対立を煽り、医療費の削減を主張するが、結局は政府の責任放棄を進めているに過ぎない。協会は「特別の料金の徴収」に断固として反対し、撤回を求めていく。
(『東京保険医新聞』2026年2月5日号掲載)


