"外来医師過多" 都内は17区が候補

公開日 2026年02月16日

外来医師過多区域 都内では17区が候補に

 2026年4月から施行される「外来医師過多区域」について、厚労省は1月16日の「第9回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」(以下、「検討会」)で候補となる二次医療圏9カ所を公表した(図1、表1)

 

 東京都では区中央部(千代田区、中央区、港区、文京区、台東区)、区西部(新宿区、中野区、杉並区)、区西南部(目黒区、世田谷区、渋谷区)、区南部(品川区、大田区)、区西北部(豊島区、北区、板橋区、練馬区)が該当し、その他に大阪市、京都市、神戸市、福岡市などが含まれている。

 足立区、荒川区、江戸川区、葛飾区、江東区、墨田区と三多摩地域、島しょ部は対象外である。

 基準として外来医師偏在指標の「全国平均値+標準偏差の1・5倍以上」かつ「可住地面積あたり診療所数が上位10%」を示しており、具体的な区域については、候補となる二次医療圏の中から、都道府県が2026年4月の施行に合わせて指定することになる。 

過多区域での開業 求められる「地域外来医療」

 新規開業希望者は開設6カ月前までに「地域外来医療の提供に関する意向等を示した事前届出」を提出することが求められる。

 事前届出義務が猶予される「やむを得ない場合」については省令で定めるとされており、現状の議論では、親が開設していた診療所について親の死亡によって子が急遽承継する場合等、「予期せず前任の開設者が不在となり、事業承継が必要となった場合」が想定されている。しかし、具体的に上記の「やむを得ない場合」にどこまで含まれるのかは未定である。また、あくまで猶予であり、承継が終了した後であらためて届出が求められることになる。

 医療機関が事前届出を行わなかった場合や、届出で「当該区域における地域外来医療の提供をしない」意向を示した場合には、都道府県は協議の場に招集し、地域外来医療の提供をしない理由等についての説明を求め、期限を定めての地域外来医療の提供の要請ができる。要請に従わない場合は、保健医療機関の指定期間が6年から3年以内に短縮され、診療報酬の申請に一部制限が加えられる。

 提供を求められる医療として厚労省事務局が例示しているものを表2にまとめた。

 

自由開業制の危機

 「検討会」では過多区域での新規開業医療機関に求める内容として「地域で不足する医療機能」と「医師不足地域での医療提供」が挙げられているが、2つの意味するところは大きく異なる。

 医師不足地域での医療提供としては、所在都道府県だけでなく県外での提供や全国マッチング支援の登録等が挙げられている。
「地域外来医療」の語句は改正医療法の第三十条の十八の五および六に登場するが、当該の外来医師過多区域外の医師不足地域での医療提供をそこに含めるのは妥当なのか。

 都市部からの一時的な医療提供が、医師不足地域での医療提供体制の改善にどの程度寄与するのかも疑問である。地域における医師不足は過疎化や地方切り捨ての問題とも関わっており、その場所で暮らし続けられる地域社会の再生と維持が必要である。

 そもそも日本の医師数はOECD諸国の3分の2程度に過ぎず、医師の絶対数が不足している。医師「偏在」という前提自体を見直すべきである。

 協会は、制度の運用において、新規開業医に過大な負担が強制され、自由開業制が損なわれることのないよう求めていく。

(『東京保険医新聞』2026年2月15日号掲載)