公開日 2026年03月09日
2026年2月16日
内閣総理大臣 高市 早苗 殿
厚生労働大臣 上野 賢一郎 殿
財務大臣 片山 さつき 殿
東京保険医協会
政策調査部長 吉田 章
地域医療部長 中村 洋一
高額療養費の自己負担増撤回を求める要望書
政府は2025年12月24日、高額療養費制度について、2027年夏までに所得に応じて自己負担の月額上限を段階的に7~38%程度(非課税世帯は4~5%程度)引き上げることを決めました(以下、新見直し案)。「多数回該当」の上限引き上げは見送られ、「年間上限」が新設されたものの、大多数の利用者には引き上げとなることが見込まれます。
2024年度にも高額療養費の見直し案(以下、旧見直し案)が政府から出されましたが、患者団体を中心とした国民からの大きな反発を受けて凍結されました。新見直し案は旧見直し案と比べ上限額の引き上げが抑えられましたが、一部の患者に負担を集中させる制度変更であることに変わりありません。政府は2,450億円ほどの医療費削減を見込んでいますが、保険料削減額は国民一人当たり年間わずか1,400円程度にとどまります。
高額療養費の見直しにあたって、政府は「応能負担」を主張し、所得の高い高額療養費利用者に重い負担をかける方針を打ち出しています。しかし、高額療養費を利用するほどの重い傷病になった人に、それほどの支払い能力はありません。「応能負担」を主張するのであれば、保険料などにより大企業・高所得者に広く負担を求め、高額療養費の限度額は引き下げるべきです。政府が実施しようとしているのは応能負担による「医療費の削減」ではなく、いままさに疾患にかかっている少数の制度利用者を狙い撃ちにした単なる「コストシフティング」です。
新見直し案による医療費削減額には、給付率減少に伴う受診抑制分1,070億円が含まれます。全国保険医団体連合会が高額療養費を利用中または利用したことがある方1,328人に行った調査では、限度額引き上げにより治療への影響(「受診の間隔を延ばす、見送る」65.7%)や生活への影響(「食費、生活費などを削る」74.3%)があることが示されています。高額療養費を利用するほどの疾患を持つ患者に対して受診抑制を見込む政策は、がん等の重度の傷病で治療を受けている患者のいのちの選別につながります。
病気になった人の負担を増やすことは根本的に誤っています。私たちはいのちと健康を守る医師として不合理な高額療養費制度の改悪に断固として反対し、撤回を求めます。
以上


