公開日 2026年06月09日
2026年6月8日
内閣総理大臣 高市 早苗 殿
厚生労働大臣 上野 賢一郎 殿
財務大臣 片山 さつき 殿
東京保険医協会
政策調査部長 吉田 章
地域医療部長 中村 洋一
声 明
「一部保険外療養」創設により国民皆保険制度の根幹を脅かす
健康保険法等改正法の成立に抗議します
2026年5月29日、参議院本会議において「健康保険法等の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。当会は、国民皆保険制度の根幹を脅かす本法案の成立に強く抗議します。
参議院の審議では、「一部保険外療養」の適用対象が、薬剤に限定されるか薬剤以外の療養の給付全体に拡大されるかの法解釈が問題となりました。
5月21日の参議院厚労委員会では、保険局長から「一部保険外療養については、法律第63条第2項第6号の規定ぶりだけを見れば、OTC類似薬に限定されないように読める」との答弁がありましたが、同26日の審議ではその立法目的・立法事実を答弁できませんでした。同28日には、これまでの答弁を修正し「規定の趣旨としては、第63条第1項第2号に規定する薬剤のみを対象とした」と述べ、一部保険外療養の対象を「薬剤のみ」に限定する法解釈を示しました。しかし、最終的に法文そのものの修正は行われないまま法案が成立し、条文上は薬剤以外に拡大する余地を残しています。法解釈を変更したのであれば、法文も修正ないし削除すべきです。
法案の成立により、2027年3月から77成分・約1,100品目の医療用医薬品について、通常の自己負担とは別に、薬剤費の4分の1が保険外となり患者に追加負担が課されます。昨年末の財務・厚労大臣の「大臣折衝事項」では、2027年度以降に対象範囲や負担割合を拡大していくことが明記されており、今後、際限なく対象薬剤や負担割合が拡大していくことが懸念されます。
政府は現役世代の保険料負担抑制を理由に法改正を押し進めてきましたが、保険料軽減効果は1人当たり月約33円に過ぎません。他方、薬剤費の4分の1が追加負担になった場合、保険料軽減効果は容易に打ち消されます。一部の患者に負担が集中し、受診抑制や服薬中断等による健康被害を招く恐れがあります。
本改正は、薬剤の一部保険外療養の導入とその拡大が示唆されており、さらにその対象が薬剤以外の療養にも及ぶ可能性が条文上残されたことで、国民皆保険制度の土台を崩すものと言わざるを得ません。
国民皆保険制度は、経済的な心配をすることなく、必要な医療を必要な時に受けられることを保障した制度であり、国民の健康を支える基盤となるものです。国民皆保険制度の根幹を脅かす本法案の成立に強く抗議します。
以上


