ワクチンパレード 風しんワクチン確保と臨時接種を

公開日 2013年07月25日

「ストップ風しん!ワクチン打って妊婦さんとお腹の赤ちゃんを守ろう!」

横断幕を掲げ日比谷公園までパレードする協会会員ら

風しんワクチン接種啓発のチラシを配布するパレード参加者

7月4日、ワクチンパレードの一行は、風しんワクチン確保と国による一斉臨時接種を求めて、六本木から日比谷公園まで練り歩いた。東京保険医協会からは須田昭夫副会長、田中眞希理事をはじめ、中野支部幹事の三輪操子先生は医療機関スタッフ総出で参加するなど約20人が参加、全体では約70人の一団となった。

「子ども支援ネットワーク」を作ってパレードを呼びかけた細部千晴協会理事は「未だ任意接種とされているワクチンの定期接種化を求める取り組みが必要とされるなか、風しんの大流行という緊急事態が発生した。2010年から風しんは流行しており、2011年には育児雑誌等に風しんが特集されていた。どうして国は速やかに対策を講じなかったのか」と訴えた。

三河台公園で訴える三輪先生(右)と細部先生(左) ポリオの会のパレード参加者は「国の対応が遅れて被害者が出ている。1970年のポリオ大流行の時と全く同じことが繰り返されている」と語った。

パレード終了後には日比谷公園周辺で風しんワクチン接種啓発のチラシを道行く人に配った。医師、患者団体一丸となって取り組み、1時間程の間に600枚以上のチラシを配布した。「風疹の流行を止めよう緊急会議」の可兒さんはCRS(先天性風疹症候群)による障害を持って生まれたために娘を18歳で亡くしており、「これ以上の犠牲を出さないために皆さんの協力が必要です」と訴えながらチラシを手渡した。

風しんワクチン接種啓発のチラシを配布するパレード参加者 チラシ配布後は厚生労働省記者クラブで記者会見を行い、同席した理化学研究所の加藤茂孝氏は、「表に出てこないが、風しんの流行年には人工流産の増加もみられる。風しんによる自然流産と、CRSを恐れた人工流産を合わせた数は、実際に出生したCRSの60倍と推計される。この数字は少子化時代に無視できない数字であり、ワクチン接種で減らせたはずのものだ」と指摘。また、CRS発生直後に国民にワクチン接種を一斉に行うことで風しんを封じ込めた、チリやコスタリカ等の他国の対応を紹介した。多摩ガーデンクリニックの小児科医である杉原桂先生は「今やるべきことは、CRS根絶のために、流行の中心である20~40歳代の男女にワクチンを一斉投与することだ。国は必要な風しんワクチンを確保してほしい」と要望した。

協会は7月17日、田村憲久厚生労働大臣と猪瀬直樹東京都知事に対し、風しんの臨時接種の実施を求める要望書を提出した。

(『東京保険医新聞』2013年7月25日号掲載)