公開日 2017年10月16日
東京都の大気汚染医療費助成制度において、2018年4月から18歳以上の成人患者の一部に、月6,000円の自己負担限度額が導入される。一部自己負担制度の導入によって、18歳未満の認定患者が18歳到達によって自己負担が発生することになる。
都が公開した2015年度の医療費助成の状況分析では、18歳~69歳の公費支払額は総計35億8,500万円、1人あたりの単価は年間50,921円/1カ月4,243円となっている。18歳以上のぜん息患者に自己負担を導入した場合、多くの患者は自己負担上限額・月6,000円以内の負担になることが予測され、新たに年間50,000万円/月額約4,000円もの自己負担を強いられることになる。
東京都大気汚染医療費助成制度は2008年8月から始まったが、無料制度の実現による制度の有用性は患者アンケート結果からも明らかだった(下図)。
一部自己負担制度の導入による経済的負担によって、服薬管理が必要なぜん息患者の受診抑制が引き起こされ、重症化してから医療機関を受診する患者が増える危険性がある。
協会は、東京公害患者と家族の会に協力し、「大気汚染によるぜん息等の患者の医療費助成を求める署名」に取り組み、1,219筆(8月末現在)を患者会に送付した。これからも国による新たな大気汚染被害者救済制度の創設を求めていくとともに、東京都に対しては自己負担限度額の引き下げを要請していく。
〔アンケートの概要〕
患者アンケートは東京保険医協会も協力し、東京公害患者と家族の会が実施。2012年4月末までに2,043件の回答が寄せられた。「医療券を受けてよかったこと」との「問い」に約8割が「お金の心配をせず治療に専念できる」と回答している。
(『東京保険医新聞』2017年10月5日号掲載)