【要望書】2019年度改定で初・再診料の引き下げを行わず医療機関の損税の抜本解決を図ることを求める要望書

公開日 2018年12月03日

2018年11月30日

厚生労働大臣 根本 匠 殿
厚生労働省 保険局長 樽見 英樹 殿
中医協委員 各位

東京保険医協会 会長 鶴田 幸男
経営税務部長 横山 佳明

2019年度改定で初・再診料の引き下げを行わず医療機関の損税の抜本解決を図ることを求める要望書

 2018年11月21日、中医協「医療機関等における消費税負担に関する分科会」は、2019年10月実施予定の消費税10%への引上げに対応する整理(案)を取りまとめ、2014年度消費税増税時と同様に基本診療料である初・再診料や入院基本料で補填する方針を示しました。

 消費税補填の配点方法を見直した新たなシミュレーションの試算では、2016年度補填状況との比較で病院の補填率は85.0%から100.6%に、一般診療所は111.2%から99.8%になるとしています。この試算によれば、一般診療所は11.2%超過して消費税が補填されており、2019年度改定ではこの超過分が圧縮された形で基本診療料に反映される、いわゆる「引き剥がし」が行われることが懸念されます。

 2014年4月改定で初診料は12点上乗せされ282点に、再診料は3点上乗せされ72点になりましたが、この間、物価(特にエネルギー構成品目)や人件費が上昇しており、またこれら基本診療料にはドクターフィーの他、施設管理費、従業員雇用等、医院経営に欠かすことのできない費用が含まれ、正に医業経営を支える原資となっています。2019年10月改定でこの上乗せ分が圧縮されれば、医院経営に重大な影響を与えることは必至です。同分科会でも診療報酬の補填では個別医療機関ごとのバラツキは解消しないとの認識で一致しており、整理(案)にも「診療報酬で補填するのは限界」との意見が付記され12月の中医協総会に提案されます。

 そもそも、社会政策的な配慮を理由に非課税とされている診療報酬に損税補填を上乗せすることは、実質課税となり患者に損税分を負担させることにもつながり矛盾が生じます。損税を抜本的に解決するには、実質非課税となる「ゼロ税率」の適用しかありません。

 つきましては、損税の抜本的解決をはかり、地域医療を守るためにも以下を強く要望いたします。

一、2019年10月診療報酬改定について、医院経営に重大な影響を及ぼす初・再診料の引き下げは行わないでください。
一、医療機関の消費税損税負担解消には診療報酬の補填ではなく、実質非課税となり抜本的な解決がはかれる「ゼロ税率」を導入してください。

以上

181130【要望書】2019年10月改定で初再診料を引き下げないよう求める要望書2[PDF:87KB]