保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

2020年度診療報酬改定―本体わずか0.47%増

公開日 2019年12月26日

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全体でマイナス0.46%

 政府は12月17日、2020年度の診療報酬改定率を本体部分0.47%増(医科:歯科:調剤の配分は、0.53%増:0.59%増:0.16%増)と発表した。加えて今回は、働き方改革として0.08%増があり、診療報酬としては0.55%増となる。しかし、薬価0.99%減、材料価格は0.02%減とし、全体では0.46%のマイナス改定となる。全体としてマイナスになるのは2014年度改定から4回連続となる。
 全体でのマイナス改定は、深刻な医療機関の経営難に追い打ちをかけるものであり、本体わずか0.47%増の改定では、10月の消費税増税も踏まえると、医療機関が赤字傾向を脱することは困難である。

◆中医協で審議されている主な内容

大病院受診時の定額負担 対象病院拡大か

 現在、特定機能病院や許可病床が400床以上ある病院を紹介状なしで外来受診した場合に、保険の一部負担金とは別に「特別料金」が発生する。これにより非紹介受診は減少したが、400床未満の病院では紹介状なしの受診が多くみられるため、対象を一般病床200床未満を除く地域医療支援病院にまで拡大する方針だ。

 患者のフリーアクセスの制限と負担増につながる懸念がある。

 救急患者や公費負担医療患者、被災患者、当該病院の他科既往患者等は対象から除外される方向だが、診療側はこれに加え、過疎地や島しょ部を念頭に除外対象にすべきとしている。

機能強化加算、要件追加か

 「機能強化加算」は初診料に対する加算で、かかりつけ医機能を有する医療機関の初診を評価するものとして前回改定で新設された。

 現在は在宅時医学総合管理料や小児かかりつけ診療料、地域包括診療料等の届け出を行っていること、夜間・休日の相談対応を行っている旨の掲示を行うことが要件となっているが、診察前の患者への文書による説明を新たな要件に加えることを検討している。この説明は必ずしも医師でなくともよいとする方向だが、今も議論が続いている。

女性特有の疾患 管理の評価新設か

 女性特有の疾患である「月経障害」「月経困難症」「子宮内膜症」等を多くの女性が「症状はあるが、それほど重大ではない」と自己判断し、医療機関の受診を先延ばしにしている実態がある。

 悪性腫瘍等への進行を予防するためにも、早期発見、治療が重要であり、その管理を行った場合の評価新設が検討されている。患者負担は増えるため、助成制度の新設や負担割合の軽減が求められる。

ギャンブル依存症に対する保険適用について

 IR誘致に伴い、顕在化するとみられるギャンブル依存症。世界的に疾患として認識され、認知行動療法が改善に寄与したと報告がある。しかし中医協では、支払い側から「健康被害ではない」「保険範囲外だ」と意見が出されており、現在も議論が並行している。

 協会は、カジノ解禁とIR誘致の動きに抗議を続けている。

総合入院体制加算 働き方改革での導入

 「医師の働き方改革」の推進に向け、総合入院体制加算に「医師と看護師との業務分担」「特定行為研修を修了した看護師の配置」「院内助産等の解説」等の項目が追加されることが検討されている。医療の質の低下につながらないよう注視する必要がある。

 この他にも小児抗菌薬適正使用支援加算の対象年齢拡大と要件厳格化、後発医薬品の更なる利用促進、オンライン診療の対象拡大をはじめ、多岐にわたり議論が行われている。

 入院医療については、一般病棟入院基本料の重症度、医療・看護必要度の改定をめぐって、各項目の内容が議論されており、さらに算定要件が複雑化することが懸念される。

 診療報酬の諮問答申は2020年2月上旬に行われる見通しだが、中医協の議論はこれから佳境を迎える。協会は診療報酬の引き上げと不合理是正、患者負担減を求めて全国の協会・医会と共同して働きかけを強めていく。

(『東京保険医新聞』2019年12月25日号掲載)