公開日 2026年06月11日

懇談の様子(5月22日、都議会議事堂5階)
協会は5月22日、資格確認書の交付について、都民ファーストの会東京都議団と懇談した。
都議団からは、荒木ちはる都議(厚生委員会・中野区/総務会長)、福島りえこ都議(総務委員会・世田谷区/政調会長代理)、本橋ひろたか都議(総務委員会・豊島区)、山口せいや都議(財政委員会・目黒区)の4人が出席した。協会からは中村洋一副会長(地域医療部長)、須田昭夫副会長が出席した。
東京都内の自治体の動き ―世田谷区、渋谷区、杉並区―
医療機関窓口での資格確認に伴う混乱を避けるため、2025年5月、世田谷区・渋谷区が国民健康保険の被保険者に対して資格確認書の一律交付を決定した。杉並区では2026年1月14日、区議会が資格確認書の一律交付の陳情を採択し、今後方針が示される予定だ(なお、杉並区議会では同日、議員提案による「従来の健康保険証の復活を求める意見書」も可決し、国に意見書を提出したほか、健康保険証の存続・復活を求める陳情5件を趣旨採択した)。
自治体レベルでは、住民の不安や要望を背景に独自に判断を下しており、今後、他の自治体が同様の決定を行うかどうか注視が必要だ。
大阪府後期高齢者医療広域連合が一律交付を決定
厚労省は健康保険証の新規発行停止後、暫定的な運用として資格確認書を2025年8月1日~2026年7月31日まで、マイナ保険証の保有状況にかかわらず後期高齢者全員に対して一律交付する運用を行っていた。しかし2026年1月27日の厚労省事務連絡で、8月の資格更新時からこの運用を見直し、85歳以上は全員交付を継続するものの、75歳~84歳については、マイナ保険証の利用実績が一定以上ある人(直近1年間にマイナ保険証を6回以上利用し、かつ直近3カ月以内にも利用実績がある人)には資格確認書を交付しない取り扱いを保険者等へ示している。
これに対して大阪府の後期高齢者医療広域連合(以下、大阪府広域連合)が、2月27日の定例会議で、マイナ保険証の保有状況や利用実績にかかわらず75歳以上の被保険者全員に資格確認書を交付する方針を決定した。
大阪府広域連合は「夫婦の間でも利用実績次第で、資格確認書が発行されるかどうか差が出るなど、混乱が強く懸念される」「問い合わせ対応など自治体への負担も大きくなると予想される」などの理由から被保険者全員への一律交付を決定したという。
資格確認書の一律交付を求める
懇談の中では、都内3自治体や大阪府の動きを踏まえて、未だに窓口でトラブルが生じていること、有効期限切れのマイナ保険証が増えていること、資格確認ができないとレセプトが返戻されるケースもあるため、患者に10割請求せざるを得ないこと、災害時には停電等により機能しないこと、施設入居者はマイナ保険証では資格確認が困難であること等を訴えた上で、大阪府広域連合のように少なくとも後期高齢者の被保険者には当面の間、資格確認書を一律交付するよう求めた。
都議団からは、「施設入居者が医療機関に受診する場合、マイナ保険証では資格確認するのが難しいだろう」「認知症患者等、配慮すべき患者がいることは確かだ」「厚労省はこれまで、後期高齢者には資格確認書の一律交付の取り扱いをしてきた。準備が不十分というのであれば、一律交付を当面の間延長する、というのは現実的な要望ではないか」といった意見が出された。一方、「医療機関窓口での機器トラブルについては、システムの精度が高くなれば解消されていくのではないか」「資格確認書を交付する/しないを仕分けする自治体業務については、データ管理システム等が整備されればそれほど大変ではないのではないか」等の意見も出された。
協会は引き続き、患者の受療権を守り、国民皆保険を堅持する立場から、全ての被保険者が確実に資格確認を受けられる手段を確保できるよう運動を進めていく。
(『東京保険医新聞』2026年6月5日号掲載)


