保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

露骨な入院抑制と給付縮減――中医協 診療報酬改定骨子を発表

公開日 2016年01月25日

在宅医療の評価に便乗した点数の複雑化や引き下げには断固反対

中医協は1月13日、2016年度診療報酬改定骨子をまとめた。以下、主なものを取り上げる。なお、東京保険医新聞2015年12月25日号(診療報酬1.03%引き下げ 医療破壊の連続マイナス改定)と重複する部分は割愛した。

診療報酬改定骨子の主な項目(一部)
○地域包括ケアシステム推進の取り組み
 ・地域包括診療料・診療加算の対象範囲拡大
 ・小児科かかりつけ医機能の推進
○在宅医療、訪問看護
 ・在医総管・特医総管の見直し
 ・「同一建物居住者」の見直し
 ・外来応需体制のない在宅医療専門診療所の評価
○外来医療の機能分化
 ・特定機能病院及び一般病床500床以上の地域医療支援病院での定額徴収の義務化
○患者が安心・安全で納得できる効果的な医療の実現
 ・ICTを活用した医療連携
 ・リハビリ関連の評価
○重点的対応が求められる分野
 ・がん医療、精神医療、小児医療、周産期医療
○効率化・適正化をする項目
 ・後発医薬品の使用推進
 ・残薬・重複投薬を減らす取り組み
 ・検査・処置等の適正化
○入院医療
 ・7対1入院基本料要件の見直し
 ・地域包括ケア病棟入院料の包括範囲等の見直し
 ・短期滞在手術等基本料3の見直し
 ・療養病棟入院基本料2の基準の新設

診察料

地域包括診療料・診療加算の対象患者を拡大し地域包括ケアシステムの強化を狙う一方で(本紙12月25号参照)、協会が要望する基本診療料を引き上げる議論はなかった。

医学管理等

ニコチン依存症管理料は若年層に配慮し喫煙本数の要件を緩和する。

診療情報提供書は、ICTを活用した医療連携推進のために電子的に送受可能にし、診療情報提供書と併せて検査結果・画像情報等を電子的に送受・共有し活用した場合を評価する。

難病外来指導管理料では、新たに指定された難病も同管理料の対象疾患となる予定だ。

在宅医療

患者の状態や訪問診療人数、居住場所による点数の更なる細分化及び在宅自己注射指導管理料の見直しがされる(本紙12月25号参照)。外来応需体制を有しない在宅医療専門診療所、休日往診や十分な看取りの実績を有する医療機関を評価する。

また、在宅酸素療法指導管理料及び在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料は、医師の判断に基づき患者が受診しない月でも材料等に相当する費用を算定可能とする。

さらに、医師の指示により、看護師等が医師の診療日以外に行った検体採取、使用した特定保険医療材料及び薬剤に関する診療報酬上の取り扱いを明確にする。

総じて在宅医療点数の評価が盛り込まれているが、点数の複雑化や既存点数の引き下げ等を許してはならない。

投薬・医薬品等

後発品の更なる使用が促進されている(本紙12月25号参照)。また、多種類の内服薬を服用中の患者に、処方薬剤を減少させる取り組みを行い薬剤数が減少した場合に評価する。

湿布薬は、一定枚数を超えて処方する場合、処方せん料、処方料、調剤料、調剤技術基本料、薬剤料は算定しないとされ、医師が必要性を認めて投薬する場合は、その理由を処方せん及びレセプトに記載する。処方時に処方せんやレセプトに投薬全量の他、具体的な用量等を記載する。

食品分類と医薬品分類とがある経腸栄養用製品について、食品である経腸栄養用製品のみの使用の場合は、入院時食事療養費等が引き下げられることと、この場合の特別食加算は入院時食事療養費又は入院時生活療養費に含まれることになり、別に算定できない。

人工腎臓は、包括されるエリスロポエチン等の価格下落を反映して評価を引き下げる。
総じて投薬・医薬品等については、「適正化」する方向が色濃く出ているといわざるを得ない。

入院

過剰と敵視される7対1病床数の削減が進められている。「平均在院日数」の見直しは骨子に盛り込まれなかったが、「重症度、医療・看護必要度」の重症者の割合、在宅復帰率の変更が盛り込まれ、7対1入院料の要件厳格化による影響は必至だ。

患者負担

紹介状なし受診の定額負担について、特定機能病院及び一般病床500床以上の地域医療支援病院は定額徴収が義務となった。

地域包括ケアシステムに係る点数や体制、在宅医療が評価されている一方、それに便乗した点数の複雑化や引き下げが行われる恐れがある。また、後発品の使用推進や湿布薬の枚数制限等、公的医療保険縮小の方向は明らかだ。
協会は意見・要望書を随時提出し、国民医療の充実を図るよう要望していく。

(『東京保険医新聞』2015年1月25日号掲載)