保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

回復期リハ、地域包括ケアへの転換に補助金〔病床機能再編〕

公開日 2017年10月16日

都・地域医療構想の具体化へ

昨年7月に東京都が作成した「地域医療構想」と2025年に向けた必要病床数の推計をふまえ、東京都では病床転換に関する費用の補助を行っている。
2017年度は“回復期”病床への転換を行う病院に対して、施設・設備整備費や人件費等を助成しており(表1)、2017年度は当初予算として計40億7,900万円(前年比10億8,000万円増)を計上している。

171005_02_図1_東京都「地域医療構想推進事業」の概要

東京都の地域医療構想では、国から提供された推計ツールを用いて“高度急性期”“急性期”“回復期”“慢性期”の4機能ごとに2025年に向けた必要病床数の試算を行っている。

「慢性期機能」は9,000床超を“削減”

東京都が2013年のレセプトデータ等をもとに行った2025年の必要病床数の試算では、都内全体で8,267床程度を“増床”、4つの機能別に見ると「慢性期機能」は9,447床程度を“削減”する推計結果となっている(表2)。

171005_02_図2_東京都における2025年に向けた病床必要数(推計値)

この推計どおりに病床再編を強行することは困難との指摘もあるが、ひとまずは前述の補助事業を活用して、「回復期」機能への転換を促すものだ。

東京都が今年度の補助対象としている「回復期」とは、診療報酬上の「回復期リハビリテーション病棟」および「地域包括ケア病棟」への転換で、すでに複数の病院が手上げを表明している 。先般5月末から8月にかけて開催された各地の「地域医療構想調整会議」では、手上げをした具体的な「病院名」「転換前後の病棟・病床数」「稼動予定時期」なども報告されており、今後も“回復期機能”への緩やかな転換が進む見込みだ。

「回復期リハ病棟」アウトカム評価と在宅復帰率が連動

厚生局の発表では、東京都内における本年7月時点の「回復期リハ病棟」は約6,000床(約110施設)あり、このうち23区内が約4,800床(約70施設)と7割超を占める。また当該入院料は、昨年4月の診療報酬改定で“アウトカム(成果)評価”が強化され、従来は1日9単位まで算定できていたものが、一部の病棟では一定の実績を満たさない場合に1日6単位を超えた分のリハビリテーション点数を算定できない(包括)こととされた。さらに“在宅復帰率(退院患者の7割以上)”や“退院患者の改善割合(入院時比で日常生活機能評価3~4点改善した重症患者が3割以上)”など、国が診療報酬上でリハビリの成果と在宅復帰促進を強引に押し進めている分野の一つだ。

回復しない患者は地域に押し出されるのか

すでに5月17日の中医協では次回診療報酬改定に向けた議論も始まっており、リハビリテーションの提供量だけでなく、アウトカムに着目した評価のあり方をいっそう強化する方針だ。成果が出ない患者はどうなるのか、さらに慢性期病床の削減によって地域に押し出される患者の医療をどのように確保しいていくのか。そうした議論もあわせて注視していかなければならない。

このほか、2018年4月からの次期・東京都保健医療計画の策定、とりわけ二次医療圏ごとに病床数の上限を定める“基準病床数”を地域医療構想に整合させようとする動きもある。協会では引き続き情報収集につとめ、地域に必要な病床の堅持を働きかけていく。

(『東京保険医新聞』2017年10月5日号掲載)