保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

韓国医療視察 印象記(3)―IT・個人番号「先進国」の功罪

公開日 2018年06月28日

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全ての患者情報を院内で共有、他施設とは電子媒体などで連携

副会長 吉田 章​

韓国は、住民登録番号制度を敷いており、国民は出生と同時に住民登録番号をもつ。住民登録番号は戸籍や住所の変更、医療、年金、税金、教育、出入国、徴兵、金融商品や不動産、自動車の取引等すべての行政サービスに使われる。

例えば、確定申告は必要でないという。個人の収入と源泉徴収、使った医療費や教育費を政府がつかんでいるため、各自が申告しなくても政府が税額を計算し、払い戻しがあれば自動的になされるとのこと。また、医療では患者が受診する際、住民登録番号で医療保険も確認できるため、保険証は不要である。評価は別として、このように行政のIT化が進んでいる韓国だが、住民登録番号の漏洩も多い。大規模なものでは、2011年インターネットのサイトから、全人口約5,000万人のうち3,500万人分がハッカーに盗まれた事件や2014年クレジットカード会社3社から約1億人分(重複あり)が下請け会社の社員により持ち出された事件などが知られている。

今回の視察に参加させていただいたのは、そのようにIT化が進んだ韓国で医療情報がどのように扱われているのかその一端でも知ることができればという思いからであった。

視察先の盆唐ソウル大学病院はIT利用では最先端の病院であるとのことだった。ペーパレスが徹底され、血液検査他画像データ等すべての患者情報は電子化され、院内サーバーに集積される。それを登録した端末で院内どこでも確認できる。

しかし、他施設との連携については、オンラインでのやりとりはやっておらず、画像などの受け渡しもCD-ROMなどの媒体で行っているとのこと。個人情報保護、セキュリティの観点からの措置であるようであった。

一方、わが国では、多施設がネットワークを作りオンラインでの、患者情報のやり取り、共有を推進しており、各地でその試みがなされている。また、その際、マイナンバーに結び付けられた統一番号(個人単位化された被保険者番号又は別の医療ID)が付番に使われようとしており、事実上マイナンバーに個人の医療情報が集積され、利用することが計画されている。

医療情報の電子化、利用については、利点ばかりではなく、その功罪を十分検討する必要があると改めて考えさせられた。

(『東京保険医新聞』2018年6月25日号掲載)