都民ファ・共産 対都請願に基づき懇談

公開日 2021年10月12日


都民ファーストの会東京都議団との懇談の模様。奥左からおじま紘平都議、もり愛都議、滝田やすひこ副事務局長(8月26日、都議会議事堂会議室)

 

 協会は8月26日、都民ファーストの会東京都議団が都議会議事堂会議室で開催した予算要望ヒアリングに出席した。また9月3日、日本共産党東京都議会議員団と懇談した。

 協会が7月14日に小池百合子都知事に提出した「2022年度東京都予算等に関する請願」に基づき要望し、意見交換した。

 都立・公社病院独法化で意見交換

 8月26日のヒアリングには協会から須田会長、吉田、中村両副会長、水山理事、赤羽根監事が参加し、都民ファーストの会東京都議団からは、おじま紘平都議(練馬区)、もり愛都議(大田区)、滝田やすひこ副事務局長(前都議・八王子市)が参加した。

 協会は以前から、東京都の医療体制に重要な役割を果たし、災害医療や感染症医療等、不採算となる行政医療に責任を持つ都立・公社病院の独立行政法人化は中止するよう求めている。独立採算が規定されている独法化後も一般会計からの繰り入れは行われるのか、行われる場合の根拠は何か、都知事の指揮下で直ちに行政的医療に対応できる現在の体制が独法化により崩れるのではないかとの懸念を伝えた。

 出席都議は「独法化が医療の切り捨てになってはならないと厚生委員会で質問を重ねてきた。現在の公社病院も都立病院に名前を戻すことになっており、医療人材の流動的な活用が可能になると確認している。財政と都知事の権限は絶対に変わってはいけないと思っている。行政的医療などの不採算医療に影響を与えないのが都民ファーストの会としても大前提だ。医療ツーリズムについても公的には委員会資料には一度も出ていない。今は都立・公社病院で扱うべきではない」と述べた。

 独法化の議論は来年度本格化する。財政的担保を確保すること、都議会によるガバナンスが必要だとの点で意見が一致した。

 おじま都議からは「PCR検査体制は拡充すべきだと思う。東京都は1日最大6万件まで検査能力を拡充したというが、実際には1日の検査数が2万5千件を上回ることはない。行政検査数が伸びない原因は何か」と質問が出された。

 吉田副会長は保健所だけではなく医療機関のキャパシティも超えていると応じ、大規模な新型コロナ専用の検査センターを都内に複数設置することなども含めて検査体制の拡充が必要だと要望した。

 検査体制の拡充は不可欠

 9月3日の懇談には、協会から須田会長をはじめ役員11人が参加した。日本共産党都議団からは大山とも子都議(新宿区)、福手ゆう子都議(文京区)が出席した。

 福手都議からは「病院でクラスターが発生し、診療継続のために医療従事者を対象に自院でPCR検査を実施した場合、行政検査の対象となる範囲が狭く、困っているという相談を受けている。現場の実態を教えていただきたい」との質問があった。

 協会は、行政検査の範囲について解説するとともに、診療継続のために必要なPCR検査が公費の対象とならず、病院や診療所の持ち出しになっている現状を説明し、医療関係者への必要なPCR検査はすべて公費で支出すべきだと主張した。医療関係者だけでなく、エッセンシャルワーカーへの検査体制を拡充すべきとの見解で一致した。

 大山都議は、都のコロナ対策の柱に「検査体制の拡充」が戦略として位置付けられていない問題を指摘した。「ワクチンや抗体カクテル療法のみで感染拡大を防ぐことはできず、検査体制の拡充がどうしても必要だ。都議選後、コロナ対策を集中的に議論する『新型コロナウイルス感染症対策特別委員会』が都議会に設置された。東京都の戦略を転換させるために力を尽くしたい」と述べた。

 吉田副会長は、「検査で感染者を発見し隔離することが感染症対策の基本だ。五輪とパラリンピックでは毎日選手・関係者に検査を実施する対策を徹底していた」と述べ、社会全体での検査体制の拡充を要望した。また抗体カクテル療法の都内での使用状況等についても情報交換した。

 協会が要望している3歳児健診時の弱視スクリーニング検査の実施については、厚労省が検査の有効性を評価しており、実現の可能性が高まっている旨が報告された。協会は都内全域で弱視スクリーニング検査が実施されるよう東京都へも働きかけを強めていく。

 協会は引き続き、都議会各会派や東京都福祉保健局・病院経営本部との懇談を実施する予定だ。


日本共産党都議団との懇談。抗体カクテル療法の使用状況についても情報交換した。左から大山とも子都議、福手ゆう子都議(9月3日、協会セミナールーム)

(『東京保険医新聞』2021年9月15日号掲載)

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