住民税通知書への個人番号記載―個人番号はマスキングを―

公開日 2017年05月24日

 東京都は2017年より、過大な負担を強いる住民税の特別徴収(事業者が従業員の住民税を給与から天引きし納付する方法)の徹底をはかった。今年1月に「給与支払報告書」を区市町村に提出する際、「普通徴収」を選択しなかった場合は「特別徴収義務者」となり、5月以降、各医療機関に従業員が在住する区市町村から「住民税特別徴収額の決定・変更通知書(特別徴収義務者用)」が届く。 

 協会が2月に実施した【アンケート】によると都内では約半数の区市町村が、この通知書に従業員の個人番号を「記載する」または「検討中」と回答している。 

 こうした通知書を受け取った医療機関の対応としては、①安全管理措置をとった上で厳重に保管、または②通知書に記載された個人番号をマスキング(表面裏面をマジック等で塗りつぶす、テープで隠すなど:下図)して、完全に読めないようにした上で、従来通りの通知書として取り扱う―などが考えられる。個人番号を厳重に管理する体制にない医療機関では、②の対応をとることになるだろう。この場合は、念のためマスキングを行った日時を記録しておく。マスキングすること自体に罰則規定はない。

図_税額通知書にマスキング

個人番号記載しないよう再要請―協会

 協会は本年2月に都内62の区市町村に対し、住民税通知書に対する個人番号記載についてのアンケートを実施するとともに記載しないよう求める要請書を送付した。アンケートの結果、「記載する」または「記載を検討中」と回答した27自治体に対し、5月1日、再度の要請書を送付した。要請書では、「個人番号の管理体制が整っていない事業所がどの程度存在するか、総務省すら把握していない状況で個人番号を一律に通知することは、個人番号の取り扱いを規定する法令に違反する事業所をいたずらに増やすことにつながる」として、番号記載を行わないよう強く求めている。

(『東京保険医新聞』2017年5月25日号掲載)