保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

平和リレートーク 「子どもたちに遺したい」

公開日 2016年07月05日

コラム_平和リレートーク

私は“戦争を知らない子ども(たち)”である。生まれてこの方、日本は平和なのが当たり前、この先もずっと戦争のない国だと思っていた。平和ボケと言われようと、二度と戦争をしないと誓ったこの国を、世界に誇れる平和憲法を誇りにも思っていた。

子どもの頃、バタヤ部落と呼ばれるバラック集落はあった。浮浪児もいたし傷痍軍人の姿も普通に見られた。食べ物がなかった話や疎開先で虐められた話は母から、祖母からは最後の時に子どもたち(私の母たち)にお汁粉を…と大切にとっておいた少量の小豆と砂糖を、防空壕の中で盗まれ悔しかったという話を聞いた。映像や書物、ろう者が手話で語る戦争体験などでもいろいろ知り、でもそれらは過去の話、これから先の日本では無いと思っていた。

のだが。ふと気づけばナニカの足音が迫っている今の日本。憲法9条も生存権も無視し、安保法制、特定秘密保護法、社会保障改悪…と次々強行。武器輸出三原則も非核三原則もスルーし人々の声も聞かず、ひたすら「この道を 前に進む」と言い張る現政権。メディアも一律右向けぇ右!批判どころか真っ当な報道が見られなくなりつつある日本。

冗談ではない。そんな日本を子どもたちに遺せるものか。戦後100年も200年も戦争しない国でいいじゃないか、平和を誇って何が悪い。子を持つ親として小児科医として、『だれの子どももころさせない』と呟きながら、この国の平和を守らねばと切に願う。

田﨑 ゆき(江戸川区)

(『東京保険医新聞』2016年7月5日号掲載)