平和リレートーク「戦争文化から平和文化へ―オバマ大統領の広島訪問に思う―」

公開日 2016年06月15日

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広島平和文化センターの前理事長で米国人のスティーブン・リーパー氏は、在職中「アメリカは戦争文化の国、日本は平和文化の国、日本が同盟国としてアメリカに核廃絶を訴えれば、核兵器禁止条約に賛成するだろう」「私も日本に来るまで、原爆使用は戦争の早期終結のためで当然と思っていたが、広島に来てみて考えは変わった」と述べていた。

日本の小学生の発言として先年、伝えられた意見に「僕がお金持ちになったら、世界の兵器を全部買い占めて、破壊する」があった。世界の軍事費は2015年1兆6760億ドルでその34%がアメリカである。1760億ドルで世界の兵器を廃棄出来るとの試算もある。軍事費の10%で、小学生の夢も実現可能である。

5月27日、現職の米国オバマ大統領の広島訪問が現実のものとなった。就任早々「核無き世界」を訴えてノーベル平和賞に輝いた人である。具体的な核兵器廃絶のスケジュールには言及せず期待はずれではあったが、核兵器のない平和な世界への決意が広島から世界中への強力なメッセージとなった。この際あらゆる障害を乗り越えて、「戦争文化から平和文化へ」の転換に舵を切って欲しい。IS問題、世界の難民問題、ヨーロッパの悩み、北朝鮮問題、テロの脅威も、中東問題すらも一挙に解決への道が開けるものと確信する。

今、世界平和を考えるとき、ケネディ大統領の「東西冷戦の核戦争の危機」以来の、世界戦争の脅威が高まっている。1度の核攻撃で連鎖を起こし、人類が生存不能の地球に汚染される危機が現実のものとなって来た。

「世界の警察」として、君臨して来たアメリカ大統領こそ今、大英断をもって立ち上がり、世界人類の危機を未然に防いだ大統領として歴史にその名を残して欲しい。

竹内 隆(中野区)

(『東京保険医新聞』2016年6月15日号掲載)