主張

  • [主張]社会保障費の総枠拡大を「防衛費2倍化」の下圧縮される社会保障  2022年12月に政府が閣議決定した安保三文書には、敵基地攻撃能力の保有を明記するとともに、防衛費を5年間で国内総生産(GDP)比2%(現状の約2倍)に増額することが明記された。この方針に基づき、2024年12月22日に閣議決定された2024年度当初予算において防衛費は2023年度予算から1兆1277億円...主張2024年03月06日
  • [主張]24年度診療報酬改定に抗議する 2024年2月14日、中医協(中央社会保険医療協議会)は厚生労働大臣に対し2024年度診療報酬改定について答申した。内容は特に内科の診療所に対して極めて厳しいものとなった。 初・再診料の引き上げ幅 賃上げには不十分  物価高騰に対し医療関係者を対象にした賃上げが昨年から焦点になっていたが、基本的原資となる診察料は、初診料が3点増の291点...主張2024年03月06日
  • [主張]PFAS汚染 国と都の責任で広範かつ迅速な対策を永遠の化学物質PFASの有害性  PFASは約5千種類ある有機フッ素化合物の総称で、代表的なものにPFOS、PFOA、PFHxSなどがある。歯科治療などに使用されるフッ化ナトリウムとは違い、炭素原子へフッ素原子を結び付けた人工的科学物質だ。耐熱、耐光、撥水、發油等に優れ、原子爆弾製造のウラン濃縮過程への採用に始まり、戦後は、コーティング剤、泡消火...主張2024年02月07日
  • noimage[主張]拝呈 会員諸家 2023年を振り返る拝呈 会員諸家 2023年を振り返る                 副会長 岡本  正史  夏の猛暑が終わったかと思えば、秋とは思えぬ陽気が続き、気が付けば師走。今年もまた、協会の一年を振り返り、来年に願いを馳せる時期がきた。我が思いの丈をつづりたい。 オン資義務化・保険証廃止に反対する取り組み  協会は以前から、「オンライ...主張2024年01月09日
  • [主張]財政審「建議」に抗議する 財務省の財政制度等審議会財政制度分科会は11月20日、「令和6年度予算の編成等に関する建議」を取りまとめた。2024年度診療報酬改定について、財務省の機動的調査に基づき、診療所の経常利益は8・8%と高水準であるとし、「全産業やサービス産業平均の経常利益率(3・1~3・4%)と同程度となるよう、5・5%程度引き下げるべき」と主張した。診療報酬で「1%程...主張2023年12月11日
  • [主張]薬剤の窓口負担 計画を撤回せよ 9月29日の厚労省・社会保障審議会医療保険部会で、厚労省は薬剤の患者窓口負担を引き上げる議論を開始した。  議論の基になっているのは、6月16日に閣議決定された「骨太の方針2023」である。同方針では、「創薬力強化に向けて、革新的な医薬品、医療機器、再生医療等製品の開発強化、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進等を行う」と掲げられており、「医...主張2023年11月09日
  • [主張]「新たな戦前」に向かう2024年度予算 2023年8月、各省庁の2024年度予算概算要求が出揃った。 防衛力抜本的強化「2年目」 2022年度比42%増  2022年12月に閣議決定された安保3文書の方針通り、2024年度予算における防衛費の概算要求は7・7兆円にのぼり、2023年度予算と比較して約17%、2022年度と比較して約42%増となった。他分野の予算と比較しても異様な...主張2023年10月31日
  • [主張]診療報酬の大幅引き上げを求めるコロナ特例の復活・延長を  厚労省は9月15日、診療報酬・公費負担のコロナ特例を10月1日から変更することを発表した。  コロナ患者(疑い含む)を感染予防策を講じて診療した場合や、入院調整を行った場合、療養上の指導を実施した場合など、従来の点数の大幅な引き下げ・廃止が行われ、名称や請求コードも再編された。  また、これまで公費負担とさ...主張2023年10月10日
  • [主張]健康保険証の存続を求める マイナンバーカード(以下、マイナカード)を巡るトラブルが止まらない。  政府は8月8日、総点検の中間報告を公表し、マイナカードと一体化したマイナ保険証に誤って他人の情報が登録されていたケースが新たに1069件確認されたことを明らかにした。これまでの累計では8441件となる。  政府は2023年11月末を期限としてさらに点検を行った上で、最...主張2023年09月19日
  • [主張]骨太方針2023の閣議決定に強く抗議する 政府は6月16日「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針。以下、骨太)を閣議決定した。 防衛費が社会保障費を圧迫  政府が示した「2027年度までの5年間に、防衛費総額43兆円にもなる大軍拡を進める」方針は、予算の単年度主義を形骸化させる。閣議決定後すぐに渡米してバイデン大統領に報告し、既成事実化したことはいかがなものか。骨太...主張2023年07月26日
  • [主張]保険証廃止法案の成立に厳しく抗議する 保険証の廃止を含むマイナンバー法等関連法案(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案。以下、同法案)が、6月2日の参議院本会議で可決成立した。  協会が会員に対して実施した「オンライン資格確認システムトラブル事例アンケート」(以下、同調査)では、「マイナ保険証に他人の情報が紐づけられていた事例」...主張2023年06月24日
  • [主張]物価・光熱費高騰への対応を求める 40年ぶりの水準とも言われる物価・光熱費高騰の影響は医療機関にも深刻な影響を及ぼしている。支出が大きく増える一方、医療機関の収入の柱である診療報酬は国が定めた公定価格であるため、当然値上げにより支出増を補うことはできない。協会はこの間の物価高騰による医療機関への影響について、都内開業医会員4697人にアンケート調査を実施し、3月14日~3月29日の短...主張2023年05月10日
  • [主張]健康保険証廃止を止めよう 政府は3月7日、健康保険証を2024年秋で廃止し、マイナンバーカード(以下、マイナカード)に一体化することを含むマイナンバー法等関連法案を閣議決定した。  同法案は、保険証の廃止以外にも、マイナンバーの利用範囲の拡大、マイナンバーの利用および情報連携に係る規定の見直し、マイナカードの普及・利用促進、公金受取口座の登録促進など、多岐に渡る内容を一...主張2023年04月28日
  • [主張]新型コロナ5類化移行後も公費と特別措置の継続を 新型コロナウイルス感染症は、5月8日から感染症法上の位置付けが変更され、2類相当から5類感染症に引き下げられる。法的位置付けの変更に伴い、「行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応」から、「幅広い医療機関による自律的な通常の対応」に移行するという。厚生労働省は3月10日、医療提供体制及び公費支援について具体的な見直し方針を示した。 ...主張2023年04月06日
  • [主張]トリチウム汚染水の海洋放出中止を求める 2021年4月、当時の菅首相は訪米前唐突に福島原発のALPS処理水の沖合への海洋放出を発表した。当然、内外から厳しい声が相次いだが、2022年7月、原子力規制委員会は臨時会議を開催し、東電のALPS処理水の海洋放出計画を許可した。  報道によれば、当時、更田規制委員長はこう発言したという。「国際基準との間の考え方など…十分な議論が尽くされた。基...主張2023年03月30日
  • [主張]オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟にご参加を 厚生労働大臣は2022年9月5日、療養担当規則の一部を改正する省令を公布し、2023年4月1日から患者がマイナ保険証を提示して療養の給付を求めた場合、オンライン資格確認に応じること、そのため予め必要な体制を導入することを、保険医療機関等に義務付けた。しかしこの計画には実施上および法的に大きな問題点がある。  まず2022年10月末時点でのマイナ...主張2023年03月03日
  • [主張]2022年 協会活動を振り返る副会長 吉田 章  ■ 2022年を概観する  2022年はいつにもまして国内外社会も医療界も共に激動の年であった。国際的にはロシアによるウクライナ侵攻が、短期間で終わるのではという当初の予想に反して泥沼化し、米国を中心としたNATO対ロシアの戦いという様相を呈している。その影響はヨーロッパだけでなく全世界に及び、わが国も例外ではなく他の要...主張2023年01月10日
  • [主張]子ども医療費助成の多摩格差解消を 2023年4月から、子ども医療費助成制度(マル子)を18歳まで拡充する「高校生等医療費助成制度」が東京都全域で開始される。  23区では、すでに全域で所得制限・通院時一部自己負担が撤廃されているマル子が18歳まで拡充する形だ。ところが、多摩地域の足並みは揃っていない。朝日新聞の調べでは島しょ部を除く30市町村のうち、高校生までの所得制限を撤廃す...主張2022年11月21日
  • [主張]医療のあり方を変質させる保険証廃止は許されない「新たな制度」は必要ない 現行の保険証を残すべき  10月13日、河野デジタル大臣は現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、今後マイナンバーカード(以下、マイナカード)に一本化する方針を明らかにした。国民皆保険の下でのマイナカードへの一本化は、事実上のマイナカード所持の義務化と言える。  加藤勝信厚生労働相は同日の記者会見で、マイナカードが...主張2022年11月07日
  • [主張]オンライン資格確認導入義務化に反対する 厚労省は9月5日の官報告示で、療養担当規則を改定し、医療機関へのオンライン資格確認システム導入の原則義務化を盛り込んだ(2023年4月施行)。  この改定は、6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針)」に基づいており、義務化は医療界ではなく経済産業界の要請に依るものだ。同方針には、健康保険証を原則廃止し、マイナンバー...主張2022年10月28日
  • [主張]後期高齢者医療費窓口負担2倍化は中止を 2022年10月から、一定以上の所得がある75歳以上の医療費窓口負担割合が1割から2割に引き上げられる。単身世帯なら年収200万円以上、複数世帯なら合計年収320万円以上の約370万人が対象となる。 受診抑制に繋がるのは明白  後期高齢者医療制度の保険料は年々引き上げられており、東京都では2022・2023年度は1人あたり年間平均10万4...主張2022年10月04日
  • [主張]骨太方針2022 医療費削減の撤回を 政府は6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(以下、骨太)を閣議決定した。 負担増・給付減を推進 防衛費が社会保障費を圧迫  社会保障については、持続可能な社会保障制度の構築をめざすとして、全世代型社会保障の推進を掲げた。しかし、その正体は、全世代にわたる負担増と社会保障の削減だ。  医療費適正化の名目で、▽オンライン診...主張2022年08月05日
  • [主張]総務省ガイドラインの方針転換 都立・公社病院独法化は中止を 総務省が2022年3月29日、地方自治体に通知した「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」に、公立病院の強化が盛り込まれた。総務省が方針転換した可能性がある。  総務省は2015年に「新・公立病院改革ガイドライン」を掲げて公立病院の「赤字体質」を批判し、解決策として病院の「再編・統合」を進めて病床削減する方針を...主張2022年06月23日
  • [主張]都立・公社病院独法化決定に抗議する 東京都議会第1回定例会は3月25日の本会議で、都立・公社病院を7月に独立行政法人化する都立病院廃止条例、法人の中期目標などを自民、都ファ、公明、維新などの賛成多数で可決・成立させ、閉会した。共産、立民、自由を守る会、グリーンな東京、生活者ネットは反対した。  採決に先立ち討論した斉藤まりこ都議(共産)は「質疑を通して、独法化を進める都の論理は全...主張2022年05月13日
  • [主張]新型コロナの診療は全て公費負担にすべき 現在(3月21日)、全国では50万人以上の人が新型コロナ感染症により療養中で、死亡者はまもなく累計3万人に達しようとしている。高齢者での3回目のワクチン接種がすすみ、薬物療法が多少利用できるようにはなったものの、感染の減少スピードは緩やかで、重症者数は下がっていない。  そのような中、新型コロナ感染症を自ら疑い受診した患者が、抗原検査で陽性が判...主張2022年04月15日
  • [主張]保険医協会にぜひご入会を コロナ禍で高齢者の受診抑制が深刻化している。協会が2021年に会員に行った開業医実態意識基礎調査では、患者の受診控えによると思われる受診遅れ、重症化事例が「あった」との回答が26・3%にのぼった。慢性疾患や精神疾患の増悪、リハビリの減少による症状の悪化、初診時に既に重症化している等の例が多数挙げられ、癌などの重大な疾患の発見の遅れも報告されている。 ...主張2022年04月09日
  • [主張]後期高齢者の窓口負担2倍化は中止を コロナ禍で高齢者の受診抑制が深刻化している。協会が2021年に会員に行った開業医実態意識基礎調査では、患者の受診控えによると思われる受診遅れ、重症化事例が「あった」との回答が26・3%にのぼった。慢性疾患や精神疾患の増悪、リハビリの減少による症状の悪化、初診時に既に重症化している等の例が多数挙げられ、癌などの重大な疾患の発見の遅れも報告されている。 ...主張2022年03月02日
  • [主張]診療報酬改定を読む 2022年度診療報酬改定の諮問答申が2月9日に行われた。  医療界が共通して求めている初再診料の引き上げは見送られた。医業経営を支える原資である基本診療料の引き上げ無しには、医療機関の経営改善、医療の質の向上を行うことは難しい。改めて大幅引き上げを求める。   外来感染対策向上加算6点が新設されるが、算定要件が厳しく医院の施設構造、患者構...主張2022年03月02日
  • [主張]2021年協会活動を振り返る副会長 中村 洋一  新型コロナ対策、要望、研究会等多彩に活動  昨年に続きコロナに振り回された1年であった。  特に夏場からは第5波に見舞われ、医療現場の病床逼迫だけでなく自宅療養者への対応などに追われた。政府の対応策が後手にまわり有効な感染予防対策が打てず一部地域では医療崩壊を招いた。重症になれば命の問題になるというのに、政府や東...主張2022年01月08日
  • [主張]オンライン資格確認 医療現場は求めていない◆本格運用開始も導入施設はわずか  10月20日、マイナンバーカード(以下、MNC)を健康保険証として利用できるオンライン資格確認の運用が開始された。しかし11月7日時点で、オンライン資格確認の準備ができたのは2万3110施設(10・1%)、運用を始めたのは1万4239施設(6・2%)にすぎない。医科診療所では4045施設、わずか4・5%であった...主張2021年12月10日
  • [主張]岸田新政権に望む 謙虚で誠実な政権運営を 10月31日に投開票された衆議院議員選挙の結果、自民党は15議席減らしたものの、絶対安定多数にあたる261議席を獲得した。しかし、自民党の当選者と次点候補者の得票の差が1万票未満であった選挙区は全国で32もあり、薄氷の勝利であった。  石原伸晃元幹事長が比例復活も叶わず落選、甘利明幹事長が自民党の現職幹事長として史上初めて小選挙区で落選するなど...主張2021年12月10日
  • [主張]診療報酬の引き上げを求める 新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、患者の受診抑制や、院内感染防止の対策のための出費も重なり、医業経営は危機的状況に陥った。  地域の医療機関は、各種補助金や融資制度等、あらゆる手立てを使いながら日常診療を維持し、発熱外来や検査、新型コロナワクチン接種、自宅療養者の診療等、求められた役割をかろうじてこなしているのが現状である。 基本診...主張2021年11月24日
  • [主張]オンライン初診恒久化に反対する 2020年4月10日から、新型コロナ感染症拡大に際しての時限的な措置としてオンラインによる「初診」が緊急避難的に認められてきた。これは、受診自粛のリスクと感染リスクとの兼ね合いの中で、利用が試され、エビデンスが検討されるのだとされてきた。一方、コロナ感染症においても、多幸感を伴う低酸素症や、無症状での突然死など、自覚症状に限定された診療の危険性が衆目...主張2021年11月12日
  • [主張]都立・公社病院 今なぜ独法化するのか 4東京都は9月28日、都立8病院と都保健医療公社6病院を地方独立行政法人化し、「地方独立行政法人東京都立病院機構」を設立するための定款議案を、都議会第3回定例会に提出した。 コロナ禍中でなぜ独法化を急ぐのか  第5波    による感染者の急増によって、自宅療養者が入院できず、病院外で死亡する事例が都内でも100人を超え、医療崩壊に至った。...主張2021年10月15日
  • [主張]東京都議会議員選挙にあたって 4年に1度の東京都議会議員選挙が6月25日に告示され、7月4日に投開票される。  憲法第54条は「衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行」うことを定めている。衆議院議員の任期は10月21日までなので、どんなに遅くとも11月末までには衆議院議員選挙が実施される。  都議選の結果は続く国政選挙の先行指標とな...主張2021年07月09日
  • [主張]数は力なり―保険医協会へのご入会を医業経営を守れ 要請の一部は政策に反映  緊急事態宣言が解除された現在も、先生方におかれましては不安な思いで毎日の診療にあたられていることと存じます。  この1年、東京保険医協会は「保険医の先生方に寄り添う活動」をスローガンに、日々の活動に取り組んできました。  2020年4月の緊急事態宣言発出を受け、協会は会員の状況を把握するため、...主張2021年05月07日
  • [主張]あらゆる観点から原発は廃止すべき現在も続く福島原発事故  東日本大震災から10年となる今も被災地の復興は道半ばだ。復興が遅れている最大の要因が、福島第一原子力発電所の事故にあることは間違いないだろう。2021年1月末時点で、約6万7千人が福島県外に避難している。  核燃料取り出しの行程は遅れ、収束の見込みは立っていない。2月13日の福島県沖地震の後、1・3号機で原子炉格納...主張2021年03月18日
  • [主張]日本政府は核兵器禁止条約への参加を 核兵器の終わりのはじまり  2021年1月22日、核兵器禁止条約(以下、TPNW)が発効を迎えた。  核兵器廃絶を目的とした条約には、1970年発効の核不拡散条約(以下、NPT)があるが、米ロ英仏中の5カ国を核兵器保有国として認めるものだ。一方、TPNWは核兵器の使用だけではなく、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移譲、使用の威嚇をも禁...主張2021年03月10日
  • [主張]75歳以上の医療費窓口2割負担化を止めよう 菅義偉内閣は本年2月5日、75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を、所得によって1割から2割に増額することを閣議決定し、今国会に提出した(医療制度改革関連法案)。成立すればコロナ禍の所得低迷による受診抑制がさらに加速し、健康悪化を招く恐れがある。  協会は、昨年12月7日に声明「75歳以上の医療費窓口負担2割化の中止を求めます」を発出したが、あ...主張2021年03月10日
  • [主張]保険証一枚で受診できる 国民皆保険を守ろう 3月からマイナンバーカードを用いた健康保険資格のオンライン確認が開始される予定だ。しかし、これには大きな問題がある。 マイナンバーカード普及策としてのオンライン資格確認  医療機関で導入する場合、カードリーダーや受給者資格確認用パソコンなど、追加設備の購入や、電子カルテの改修などが必要になり、受付事務員への教育も必要になるなど、システム維...主張2021年02月13日
  • [主張]2020年協会活動を振り返る副会長 岡本 正史 ■ コロナ禍で会員を支える活動を展開  協会はいつも何やかやと忙しい。特に今年は診療報酬の改定があり、役員も駆り出され、例年よりも忙しくなる。そんな思いで迎えた2020年。その忙しさに輪をかける出来事が起こる。新型コロナウイルス感染症である。  協会は2月に内閣総理大臣、厚労大臣宛に「新型コロナ感染症対策の強化を求...主張2020年12月23日
  • [主張]菅新政権の政策を問う~自助・共助・公助~ 菅義偉首相は10月26日、第203回臨時国会の所信表明演説で、目指すべき社会像として「自助・共助・公助」を掲げ、「自分でできることは、まず、自分でやってみる。そして、家族、地域で互いに助け合う」と「自助・共助」を強調した。これは、裏を返せば「公助」の削減、すなわち、社会保障の削減を安倍前政権から引き継いで実施するという宣言である。 「自助・共助...主張2020年12月12日
  • [主張]菅新政権の政策を問う~デジタル庁への懸念~ 9月16日の総理大臣就任後の記者会見で、菅首相はデジタル庁の創設を表明し、その準備機関として、30日に内閣官房の「デジタル改革関連法案準備室」が創設された。デジタル庁の創設は2021年9月を予定しているという。  デジタル庁は具体的には何を実行するのか。10月26日の所信表明演説で菅首相は、コロナ禍で行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れ等...主張2020年12月11日
  • [主張]日本学術会議の任命拒否問題を考える 2020年10月1日から任期が始まった日本学術会議(以下、同会議)の新会員について、同会議が推薦した会員候補105人のうち6人の任命を菅義偉首相が拒否したことに批判の声が高まっている。この問題の本質について考えてみたい。 ゆらぐ「法の支配」  東京保険医協会は、10月5日に政策調査部長名で声明「日本学術会議の推薦候補を任命するよう求めます...主張2020年11月26日
  • [主張]安倍政権の政策を振り返る 「公助」を第一に転換を 2012年12月に発足した第2次安倍政権は、2020年8月まで7年8カ月続き、安倍前首相の連続在任日数は歴代最長となった。長さのために犠牲となった点はなかったか。 「アベノミクス」の成果は?   「アベノミクス」と呼ばれた経済政策は、日銀の異次元金融緩和を継続し、デフレ解消を目指したが、通貨価値を低下させて株価を上昇させただけで、国民生活...主張2020年11月11日
  • [主張]今こそ医療機関への財源措置を 政府は9月15日、第二次補正予算の予備費10兆円から新型コロナ追加対策として1兆6386億円を支出することを閣議決定した。  その内訳は、検査体制の抜本的な拡充に131億円、治療薬・ワクチンに948億円、医療提供体制の確保に1兆1946億円、その他3361億円である。  ただし、「医療提供体制の確保」の具体的な内容を見ると、新型コロナ感染...主張2020年10月13日
  • [主張]オンライン資格確認 考えられる問題点◆マイナンバーカードを用いたオンライン資格確認  保険証のオンライン資格確認が2021年3月に開始される予定である。医療機関の窓口や受付でマイナンバーカードを顔認証付きカードリーダーにかざして医療保険の資格確認を行うものだ。  国は、全国22万件の医療機関・薬局に、顔認証付きカードリーダーを無償で提供し、オンライン資格確認に必要なシステム整...主張2020年09月14日
  • [主張]マイナンバーカードが特別定額給付金を遅らせた 新型コロナウイルス対策として一律10万円を支給する、「特別定額給付金」が実施された。経済活動の自粛による減収の一部を、速やかに補填する計画だった。申請は、①区市町村から届く書類に押印し、②預貯金通帳の表紙のコピーと、③写真付き身分証明書(免許証など)のコピーを添えて、郵送すれば完了だった。ところが、申請にマイナンバーを使う「オンライン申請」が大混乱を...主張2020年07月20日
  • [主張]医療費削減が招いたコロナ禍独・伊の明暗を分けた医療提供体制の差  2020年6月1日現在、ドイツの新型コロナウイルス感染症による死者数は8511人(致死率4・7%)と、欧州諸国の中で突出して少なく、イタリアの3万3415人(致死率14%)と4倍近い差がある。  ドイツが患者の抑え込みに成功した要因としては、初期段階で徹底したPCR検査体制を敷いたことの他にも、豊富な...主張2020年07月14日
  • [主張]民間病院に緊急支援を病院を襲う大幅な収入減  新型コロナウイルスに罹患した患者を受け入れている病院の職員は自身も感染するかもしれない危険と隣り合わせで治療に当たっている。療養病床等の病院では、院内にウイルスを持ち込ませまいと必死の努力を行い、これまで以上に院内感染防止対策を徹底して行っている。  こうした中、現場の医療機関からは、人員不足や感染防護用品の不足、...主張2020年07月02日
  • [主張]医業経営を守り医療崩壊を防げ外来患者・保険診療収入ともに減少  新型コロナウイルス感染症が国内で拡大する中で、医療機関の経営は大きな打撃を受けている。協会が4月に実施した会員医療機関への緊急アンケート「新型コロナウイルス感染症による医業経営への影響」には、外来患者数、保険診療収入ともに、9割超の医療機関で減少しているとの回答が寄せられ、前年同月と比べて5割以上減少していると...主張2020年07月01日
  • [主張]緊急事態宣言と政治への信頼新型コロナ拡大の経緯と日本政府の対応  4月8日、「新型コロナ特措法」に基づく緊急事態宣言が発令され、5月6日まで実施することとされた。早くも経済対策の内容などをめぐり、多くの疑問が出されている。 この間の、新型コロナ感染の拡大の経過を見てみよう。2019年12月、中国武漢市から始まった原因不明肺炎は新型のコロナウイルスによる感染と確認された。...主張2020年04月30日
  • 【主張】公立・公的病院の拡充を 2019年9月、厚労省は公立病院や公的病院の約25%に当たる全国424病院について、「再編統合について特に議論が必要」として病院名を公表した。都内では10医療機関が対象となった。病床削減を目指す「地域医療構想」を実現するために、病院名の公表という強硬な手段が取られたことについて、都道府県や医療機関、患者など各方面から批判の声が上がった。  その...主張2020年04月30日
  • 【主張】原発ゼロの社会を ~3・11を忘れない原発事故は収束していない  東日本大震災から9年が経過したが、避難者は現在でも約4・7万人にのぼっている。  災害に追い打ちをかけた東京電力福島第一原子力発電所(福一)事故が、被害を複雑化して復興を妨げている。震災による直接の被害に加え、事故による避難で長距離を移動中に死亡した人、放射線量が高い地帯に取り残されたまま死亡した人、放射線のため...主張2020年04月02日
  • 【主張】今次診療報酬改定を読む 2020年度診療報酬改定では、入院は「医療機能の分化・強化、連携」、外来は「かかりつけ医機能」を推し進めた前回改定をより強固にする内容となった。また、全体的に細かな部分での改定が行われ、施設基準の変更や医師以外の職種に対する評価等が新設された。  入院機能の部分では、入院基本料、特定入院料は据え置かれ、短期滞在手術等入院基本料3はすべて引き下げ...主張2020年03月13日
  • 【主張】IRは社会の腐敗を生む 政府は、東京地検のIR企業参入に絡む汚職事件の摘発が進む中にあっても、IRについての基本方針を白紙撤回することなく、「先送りにする」と発表した。推進母体の中心にいる菅官房長官は「IRと今回の事件は明らかに次元が違う」という。  腐敗を生むのが必然のカジノであるが、誘致の段階で既にこれだけの腐臭を漂わせているのである。カジノは即時に白紙撤回すべき...主張2020年03月03日
  • 【主張】2019年協会活動を振り返る医療・介護・福祉などの社会保障を守る活動  安倍内閣の特徴は、嘘と言い逃れと責任転嫁が多く、言葉の意味を変えて国民に誤解を与える点にある。「社会保障・税の一体改革」とは、二つの一体的な改善ではなく、同時進行的な改悪であった。「アベノミクス」の標語は夢がありそうだったが、もはや使われていない。幻惑させる標語の陰では、強い者や総理のお友達を優遇し一般...主張2019年12月26日
  • 【主張】「東電裁判」無罪判決に抗議する 2011年3月の東京電力福島第一原発事故において、第一原発から約4・5㎞の場所に位置する双葉病院と、同系列の介護老人保健施設ドーヴィル双葉の入院患者、入所者らは、電気や水道が止まった病院に数日間待機を余儀なくされた。病院長をはじめ医療スタッフたちは、懸命に残された患者の治療・看護にあたっていたが、原発の状況が切迫する中、14日には警察から避難を命じら...主張2019年11月29日
  • 【主張】『全世代型社会保障』の正体 9月11日に第4次再改造内閣を発足させた安倍首相は、「『全世代型社会保障』(以下、『全世』)を大胆に構想する」とし、自らが議長となる『全世』検討会議を設置した。しかし『全世』の正体は、その発言の印象とは真逆の、「全世代にわたる負担増と、社会保障の削減」にほかならない。 「社会保障と税の一体改革」の流れを引き継ぐ  2012年にスタートした...主張2019年11月15日
  • 【主張】公立・公的病院の再編統合に抗議する 厚生労働省は、公立・公的病院等のうち、再編統合の議論が必要と判断した424病院の病院名を公表し、東京都でも10病院が対象に挙がった。  これらは9月26日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で1455病院の中から「再検証対象医療機関」として発表されたものであり、がん等の疾患や医療事業の9領域の実績すべてで「診療実績が特に少ない場合」と、...主張病院有床診部2019年11月08日
  • 【主張】診療報酬改善と周知期間の確保を求める 現行の診療報酬の算定は非常に複雑で、理解するのが難しい。  在宅や医学管理には併算定できない規定があり、告示、通則、通知、事務連絡をすべて読み込まなければ正しい算定は困難である。初再診料にも様々な加算が存在し、カルテ記載が算定要件になっている外来管理加算や、電話再診と医学管理が併算定できないことによる診療情報提供料の減点査定など現場への負担とな...主張審査指導対策部2019年10月28日
  • 【主張】保険証資格のオンライン確認に反対する▶システムの概要  保険証資格のオンライン確認が2021年3月から本格運用されようとしている。  概要は次の通り。現在、世帯単位である保険証番号の末尾に二桁追加して個人単位化し、マイナンバーと1対1でセットにしてオンライン資格確認センターに登録する。医療機関の窓口では、提示されたマイナンバーカードの電子証明書を利用し、オンラインで保険証資格...主張2019年10月18日
  • 【主張】いわゆる「応召義務」を考える 1880年(明治13年)の刑法には、「医師ガ故ナクシテ急病人ノ招キニ応セサル」時の処罰規定があり、応召義務と名付けられた。  1948年(昭和23年)制定の現行医師法にも、刑法罰のない倫理規定として応召義務が残され、医師免許はく奪や停止という行政処分がありうると解釈されてきた。  現行の医師法第19条には、「診療に従事する医師は、診察治療...主張2019年09月18日
  • 【主張】骨太の方針2019と財政審建議に抗議する 財政制度等審議会の財政審建議(「令和時代の在り方に関する建議」)を受けた政府は、6月21日「骨太の方針2019」を閣議決定した。経済財政運営の基本方針とする。  骨太の方針は「全世代型社会保障」を掲げるが、その内容は患者の自己負担をさらに増やし、保険給付を減らすものとなっている。 社会保障をさらに削減  財政審建議は、社会保険での「給付...主張2019年07月03日
  • 【主張】景気動向が「悪化」する中での消費税増税は中止すべき これまで2回行なわれた消費税増税は、いずれも景気を「好景気」「回復期」と判断した時期に実施されていた。しかし、3月の景気動向指数の基調判断は「悪化」の局面であり、消費税増税は無謀と言える。  4月の消費動向調査では消費者心理の明るさを示す消費者態度指数が7カ月連続で悪化している。主因は耐久消費財の購入意欲の後退である。  3月の毎月勤労統...主張2019年06月28日
  • 【主張】医療保険関連法成立に抗議する マイナンバーカードの保険証利用を可能にする「医療保険関連法(医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律)」が衆議院での約10時間の審議の後、参議院でこの5月に成立した(下表)。  この法律の主要なポイントは次の3点である。①保険証だけでなくマイナンバーカードを使用しオンラインでの資格確認ができるようにする。②...主張2019年06月20日
  • 【主張】新専門医制度と開業制限を考える 大学病院には多数の診療科がそろっていて百貨店のようだが、一診療科当たりの病床数はあまり大きくできず、一人の医師が受け持つ患者数は少ない。一方、市中病院は、診療科の数や大きさを絞って特色を出し、専門店のような診療ができる。受診者数が多く、診療水準が大学を超える市中病院も珍しくない。若い医師にとって、多くの症例を経験できる市中病院や専門病院の魅力は大きい...主張政策調査部2019年05月21日
  • 【主張】2019年度 東京都予算を考える歳出額は過去最大 東京都の2019年度当初予算案が都議会定例会で審議されている。一般会計歳出総額は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの準備等により、2018年度比4,150億円増の7兆4,610億円となり、過去最大となっている(これまでの最大は1992年度の7兆2314億円)。 予算規模が大きくなった理由の1つは、東京...主張2019年04月01日
  • 【主張】損税の抜本解決を放棄した「税制改正大綱」2018年12月21日、「2019年度税制改正大綱」が閣議決定された。医療機関の損税に対して、診療報酬での補填のばらつきに問題点をすりかえ、「消費税10%への引き上げに際しては、診療報酬の配点方法を精緻化することにより、医療機関種別の補填のばらつきが是正される」と、税制での解決を放棄した。 中医協総会(2019年1月16日)は、消費税率10%への...主張経営税務部2019年03月13日
  • 【主張】大人世代への風疹定期接種化を考える国立感染症研究所の発表では、2018年の風疹患者数は2917人で、1万4344人であった2013年に次ぐ多さとなった。2019年も367人以上の患者が報告され、流行が続いている(2月6日現在)。そのなかで、先天性風疹症候群の症例も報告された。 協会はこれまで、低抗体価の世代に対して、男女を問わず抗体検査なしにMRワクチンを公費で接種することを国や...主張地域医療部2019年03月13日
  • 【主張】水道事業民営化は問題山積水道法改正案が強行採決された。公的事業を民営化すれば、効率が改善してサービスもよくなるというのは、公正な競争から生まれる現象である。ところが、水道のような独占事業を民営化しても競争は生まれず、利益追求に走る危険が大きい。公共事業であれば不正利得を監視されるが、民間企業になれば、談合や暴利が不当であっても、不正ではなくなる。広く世界を見わたせば、水道事業...主張政策調査部2019年01月23日
  • 【主張】2018年協会活動を振り返る 当協会の活動は多岐にわたっているが、基本となるのは①診療報酬に関する活動(算定、請求にはじまり審査指導対策も含む)、②保険医年金・休業保障などの共済制度、③研究活動(各分野の講習会)、④経営税務関連、⑤各種講習会・講演会、そして⑥国や東京都、マスコミ等への対外活動であろうか。  ①に関しては、わかりやすさ、詳しさ、正確さでは定評がある。今年は診...主張2019年01月09日
  • 【主張】都立病院の独法化は誤り 都立病院経営委員会は2018年、東京都立病院をすべて独立行政法人化(独法化)することを提言した。都立病院の診療に関する収支は均衡が取れているが、毎年約400億円を都の一般会計から繰り入れていることの解消を求めた。しかしこの費用は災害対策や行政的医療など、東京都が都民に対して義務を持つ事業の費用であり、独法化で解決するのは筋違いである。  すでに...主張病院有床診部2019年01月07日
  • 【主張】個別指導 通知を受けたら協会へある日、個別指導実施の通知が届いたらどうするだろうか。「個別指導」とは何かを知っている先生は、「ついに来たか」と思うだろうし、知らない先生は「何、これ」と疑問に思うだろう。どちらにとっても歓迎できるものではない。 国民皆保険制度のもとでは、公的制度に基づく契約保険診療を行うため、保険医療機関の指定を受け、保険医の登録をした上で医師が診療の必要性を...主張2018年12月28日
  • 【主張】消費税「損税補填」の嘘■診療報酬による損税補填    「不足」問題が発覚  医療機関の損税は診療報酬で補填されているというが、本当にそうだろうか。  7月25日の中医協分科会において、消費税が8%となった2014年度の診療報酬の損税補填率に誤りがあったことが明らかとなった。これにより、病院の2014年度分の補填率は102・36%から82・9%、診療所・歯科診療所・保...主張2018年12月07日
  • 【主張】生保患者のジェネリック強要を考える生活保護法第34条第3項は、これまで「被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努める」と規定されていたが、今般「原則として、後発医薬品によりその給付を行う」と改定され、2018年10月1日に施行された。これに対し、協会には「院内処方で後発医薬品の在庫がない場合でも、後発医薬品を処方しなければ指導の対象となるのか」等、...主張2018年11月26日
  • 【主張】2019年度 東京都予算に望む東京保険医協会は7月18日、「2019年度 東京都予算等に関する請願」を小池百合子東京都知事および都福祉保健局に提出した。 東京都予算等に関する請願は協会が毎年行ってきた。特に2018年度には社会保障分野で数々の改善が見られた。例えば、救急隊が6隊60人の増員、NICU整備目標の引き上げ、医療的ケアを必要とする児童・生徒への通学支援、子ども食堂の...主張政策調査部2018年09月03日
  • 【主張】国民の願いに逆行する骨太方針 社会保障費の削減を継続 安倍政権は、2013年度~2018年度の6年間で社会保障費の自然増のうち約1兆6,000億円を削減した。6月15日閣議決定された、経済財政運営の指針である「骨太の方針2018」では、2025年に国と地方の基礎的な財政収支(プライマリーバランス)を黒字化することを目標にし、その達成のために、①2019年10月からの消費税...主張2018年08月09日
  • 【主張】今次診療報酬改定を読む―強引な政策誘導に終始2018年度診療報酬改定には、厚労省の重点項目である「地域包括ケアシステムの構築」と「医療機能の分化・強化、連携の推進」のための施策が色濃く表れている。 入院機能としては、急性期医療を担う病棟を減らし、地域包括ケアまたは回復期リハを担う病棟を支援し、診療実績の評価を強めた。長期療養を担う療養病床について、介護型は介護医療院や介護老人保健施設への転...主張新点数審査指導対策部2018年04月20日
  • 【主張】オンライン診療 ガイドラインの問題点今年の診療報酬改定では、「パソコンや、スマホを用いた」いわゆる「遠隔診療」が保険収載され、ガイドライン(GL)が発表された。 東京保険医協会は、従来から通信技術の発展を患者のための医療開発に取り入れる可能性を担保しつつも、安易な利用がさまざまな危険を伴い、弱者の通院行動の妨げにすらなること、また安全性担保が過大な医療機関への負担になること等から、...主張2018年04月02日
  • 【主張】原発の闇を抜け出せ原子炉でウラン(U)を燃やすと、地上最悪の毒性物質プルトニウム(Pu)ができる。Puの半減期は2万4千年で、安全になるには20万年かかる。ネアンデルタール人が絶滅してからまだ2万年しか経っていない。 Puはウランの250倍も爆発しやすい性質があり、原爆の材料として知られている。危険で捨てる場所がないので、Uに混ぜたMOX燃料にして、既存の原発で燃...主張2018年03月30日
  • 【主張】保険医協会へのご入会を訴えます―開業保険医の2人に1人が会員地域医療の第一線でご活躍の先生方に、心より感謝と敬意を表します。 東京保険医協会は1963年の設立以来、「国民の健康と医療の向上をはかる」、そのために会員一人ひとりを大切にして「保険医の生活と権利を守る」ことを理念として活動を続けてまいりました。おかげさまで、現在5,600人の先生方にご入会いただいており、都内開業保険医の2人に1人が協会会員です...主張組織部PR2018年03月28日
  • 【主張】良好な疾病管理ができる制度をぜん息医療費助成制度への一部負担導入を考える 東京都は、18歳以上の気管支ぜん息患者に6年間、窓口負担を助成してきた医療費助成制度について、2015年3月31日をもって新規認定患者の受付を打ち切った。さらに2018年4月以降は、現在の認定患者に上限6000円の窓口負担を設けた。都によると、2015年の18歳以上の患者の窓口負担は、平均で1カ月39...主張2018年03月02日
  • 【主張】新薬高止まり 薬価問題を考える新しい医薬品の価格は、(1)新規性に乏しいもの、(2)類似薬があるが、有用性が高いもの、(3)類似薬がないもの、の3類型で決められる。(1)は類似薬よりも安く決められるが、2009年12月4日から2011年3月2日の間に審査された新医薬品45銘柄のうち、新規性に乏しい(1)に分類されたものは1銘柄しかなく、他の44銘柄はすべて、有用性が高い(2)、また...主張2018年02月28日
  • 【主張】国民から医療を奪う改定は許されない2017年12月18日、厚労省は2018年度診療報酬の改定率について、本体部分はプラス0.55%、薬価はマイナス1.65%、材料価格はマイナス0.09%、全体ではマイナス1.19%と発表した。本体部分は引き上げとなったものの、薬価、材料価格の引き下げ部分が本体に充当されない結果となった。第21回医療経済実態調査では、2016年度の一般病院の損益率はマイ...主張2018年度 診療・介護報酬改定情報2018年02月05日
  • 【主張】見切り発車する国保の広域化 公費投入の削減・解消が狙い国保は区市町村単位で運営されてきたが、加入者の約8割が前期高齢・非正規雇用・無職・有病・低所得などに該当するようになった。被保険者一人当たりの所得が減少しているのに、医療費が増加するという、逆転現象のために運営困難に陥っている。 行政の側からは負担の平等化、財政の安定化、事務の効率化などを目的に、2018年度からは国保の運営責任を都道府県に移すこ...主張2018年01月31日
  • 【主張】諦めなければ道は開ける2017年は初頭から、辺野古では新基地建設に抗議する人を機動隊員が「土人」と罵り力づくで排除し、そのリーダーが長期間勾留された。国会では「共謀罪」が強行採決され、南スーダンの自衛隊基地への着弾があったという現地報告を隠しつづけた大臣もいた。また、現政権は戦略特区をつくって、知人に利益誘導し、その行政文書を隠す「森友、加計問題」事件を起こしている。 ...主張2017年12月27日
  • 【主張】悲しくて切ない高齢者の患者負担家族の収入を当てにする仕組み 医療機関を利用する際には、いずれかの医療保険に加入している必要がある。後期高齢者(75歳以上、一定の障害がある人は65歳以上)は後期高齢者医療の被保険者となる。保険を使い医療機関を受診するとき、必要なのが一部負担金である。一部負担金は療養担当規則に基づき新規保険医療機関指導の際に必ず徴収するように指導される。 ...主張2017年12月20日
  • 【主張】カジノIRと健康被害を考える世界のギャンブル機器の3分の2が日本にある 政府は、次の国会にIR実施法案を提出するとしている。 2016年12月にIR推進法が施行されて以来、ギャンブル依存症家族の会など多くの関係団体の反対を押し切り、形ばかりの論議をしただけで、国が認定するギャンブル場をあらたに許可するというのだ。 賭博を、刑法185条、186条で明確に禁じている...主張2017年10月23日
  • 【主張】保険者機能の強化を考える「国保の都道府県化と差し押さえ」2018年度から国保の運営責任が都道府県に移管されるために、国保料の高騰が懸念されている。国保料は世帯所得と家族数に賦課されるため、負担感が大きい。区市町村は一般会計からの繰入金によって、負担感を緩和してきた。国保の都道府県化にあたって政府は3,400億円の交付金を与える方針だ。しかし国保料の負担感を緩和するには1兆円が必要だという全国知事会の要望に対...主張政策調査部2017年10月12日
  • 【主張】医療ビッグデータ活用の問題点国民への説明とその同意があったのか 医療ビッグデータの定義は定まっていません。医療に関する様々なデータを集積して分析すれば、医療の質や効率を高めることができます。このとき分析の成果は、データの量と品質に依存します。厚労省は保険診療のレセプト情報と特定健診の情報を集め、さらにDPC(Diagnosis Procedure Combination:診...主張2017年07月07日
  • 【主張】東京都議会議員選挙に望む「暮らしと医療・介護を大切にする都政を」東京都議会議員選挙が6月23日に告示され、7月2日に投開票される。5月末に実施された共同通信社の世論調査では、新たな都議に取り組んで欲しい政策として、1~4位には「福祉・子育て支援」36%、「雇用・景気対策」15%、「豊洲市場の移転問題」14%、「東京五輪・パラリンピックの準備」7%などが並んだ。豊洲や五輪経費問題をマスコミが大きく取り上げるなかで、都...主張政策調査部2017年06月16日
  • 【主張】介護医療院について考える 2017年度末に「介護療養病床」が廃止される。その後、どのように転換がなされるのか、概要がようやく報告された(2016年12月8日厚生労働省、社会保障審議会医療部会)。  医療機能を内包した施設系サービス(2類型)と医療を外から提供する居住系サービスという3つの新類型に転換すると発表。厚生労働省は経過期間を3年間と提案していたが、現場からの要望...主張2017年06月08日
  • 【主張】法的根拠のない自主返還は跳ね返そう 納得いかない減点は協会にご相談を東京保険医協会 審査指導対策部長 浜野 博  今まで研究部に所属して、審査や個別指導問題に対応してきた審査対策委員会が、本年4月1日より研究部から独立し、「審査指導対策部」として新たな部に昇格しました。部長や副部長、部員は委員会からそのまま引き継がれて、今後も会員のためにいっそうの活動ができる体制が整いました。  保険診療をしている会員にと...主張2017年05月15日
  • 【主張】広域化で国保問題は解決しない 2018年4月から、国民健康保険の運営や事業の継続に、都道府県が中心的な役割を担うことになる。区市町村は引き続き保険料を徴収するが、制度での役割が大きく変わる。  区市町村は都道府県の割り当てに従って国保料を徴収し、全額を“国保事業費納付金”として都道府県に納付する。都道府県は保険給付に必要な費用を“交付金”として区市町村に配分する。区市町村の...主張政策調査部2017年05月08日
  • 【主張】「セルフメディケーションの問題点 自己診断・自己治療で手遅れになっては困る」 セルフメディケーション税制が、2017年から5年間の時限措置としてスタートした。指定されたスイッチOTC薬について、年間購入額が10万円に達するまで、1万2千円を控除した金額が(最大8万8千円)所得控除される。  医療費控除には、年間200万円までの医療費が、10万円を超えた分を所得控除する制度があり、これを補足する制度のようにも見えるが、新し...主張2017年04月05日
  • 【主張】混合介護を考える 2月10日に開かれた内閣府の国家戦略特区の区域会議において、小池百合子都知事は「混合介護」を2018年度からモデル事業として豊島区でスタートさせることを政府に提案した。  提案の2本柱は、(1)介護保険サービスと保険外サービスの同時・一体的提供と、(2)介護保険サービスに付加価値をつけた部分への上乗せ料金設定だ。(1)では、訪問介護の際に、利用...主張政策調査部2017年03月28日
  • 【主張】暮らしを支える都予算を望む 2017年度東京都予算案が都議会定例会で審議されている。小池百合子都知事が誕生して初めての予算案だ。  政策的経費である「一般歳出」は前年度比291億円減(0.6%減)の5兆642億円だ。注目された「福祉と保健」分野は、前年度比349億円増(3.0%増)の1兆2017億円になり、一般歳出に占める割合が23.7%で過去最高を更新した。待機児童対策...主張政策調査部2017年03月17日
  • 【主張】「壁に耳あり、障子に目あり」―共謀罪法案の危険性― 「共謀罪創設法案」(組織犯罪処罰法改正案)が今国会予算委員会などで論議されている。  過去3回、廃案とされてきたこの共謀罪法案を政府はテロ等組織犯罪準備罪と名称変更し(組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪)、準備行為も要件に加えたからこれは共謀罪ではないと主張しているが、その本質は変わらない。  政府は共謀罪法案が成立し...主張政策調査部2017年02月14日
  • 【主張】国民の健康と「カジノ」法 昨年末、「統合型リゾートの整備を政府に促す法律」(以下「カジノ法」と記載)が、自民党、維新、公明党などの賛成多数で成立しました。政府は1年以内にカジノ解禁の実施法案を策定することになります。世論調査では「反対」63%(時事通信社)と国民の大多数が疑問をもつなかで、法案提出から一カ月、ほとんど議論もなく法律が作られました。  過去、世界中のほとん...主張政策調査部2017年02月02日
  • 【主張】南スーダン派遣に反対する理由 南スーダンはアフリカ大陸中央部の新興国である。イスラム教国スーダンから、キリスト教部族が独立してつくられた。この地域は、アフリカにおいて石油埋蔵量がとくに多いことが知られ、利権をめぐった争いが起きやすくなっている。周辺国を含めた、平和的な話し合いが必要な地域である。現在のところ、人口が1位の大統領派部族と、2位の副大統領派部族が主導権をめぐって争って...主張政策調査部2017年01月25日
  • 【主張】東京の「明」と「暗」を見据えて 残りわずかの2016年、協会活動について季節ごとのトピックスを振り返ってみた。 冬:診療報酬改定  小児かかりつけ診療料、認知症地域包括診療料のほか歯科や薬局にも「かかりつけ」機能が算定要件に盛り込まれた。病院・診療所機能を割り振り2025年への道筋を定めた印象である。また、向精神薬の多剤投与や維持期リハビリテーションは減算のみならず、よ...主張2016年12月25日
  • 【主張】社会保障の充実こそ「都民ファースト」 「都民ファースト」を掲げる小池百合子都知事が誕生し、4カ月が経過した。築地市場の豊洲移転問題、東京五輪の会場整備費削減に取り組む知事の姿が連日報道されている。  小池都知事は11月18日の定例記者会見で、豊洲市場への移転時期について、来年夏ごろに判断するとした。「科学的な検証がベース。移転が確実とはまだ言えない」と強調したが、移転の白紙撤回では...主張政策調査部2016年12月05日
  • 【主張】問題だらけの新専門医制度 2017年からスタート予定であった「新専門医制度」は、多くの医療界から反対・疑問の声が上がり、当面延期することだけは決まった。日本専門医機構は、トップの理事長をはじめ、ほとんどの役員が刷新されたが、前途は多難と言わざるを得ない。そもそも、何のため、誰のための新専門医制度なのか、そのガバナンスも明らかにはなっていない。  東京保険医協会勤務医委員...主張勤務医委員会主張・談話2016年11月25日
  • 【主張】地球温暖化対策 日本は火力・原発依存から脱却を――安全・クリーンなエネルギーを望む 昨年末、パリで開かれたCOP21(気候変動枠組条約締約国会議)では地球の気温上昇を2℃未満に留めるため、CO2の排出量削減に取り組むことが合意され、今世紀下半期に実質ゼロ炭素化を目ざすという目標が示された。日本でも異常気象や熱帯性感染症が発生するなど温暖化の影響が広がっているが、気温上昇が2℃を超えると地球規模で「作物の生産高減少」や「利用可能な水の...主張公害環境対策部2016年11月15日
  • 【主張】患者申出療養を考える―貧富の差が医療の格差に直結 公的保険診療と保険外の自費診療を組み合わせて、同時に行うことは混合診療と呼ばれ、本来なら保険が使える部分も含めて、全額自己負担になります。  これは、混合診療を無制限に認めると安全性、有効性を確認されない医療が蔓延し、さらには患者に保険外負担を求めることが常態化することで、患者負担が不当に拡大する恐れがあるからです。また、自由診療を下支えする公...主張政策調査部2016年11月04日
  • 【主張】医の倫理を考える―社会の圧力から患者をいかに守るのか ナチス政権による虐殺は、法律や命令に基づいて合法的に行われました。医師達は効率的な殺害方法の研究や生体実験を行いました。被害者は自国民のうち、身体的・精神的・社会的な弱者、高齢者たちでした。虐殺はやがて、少数民族のホロコーストへと拡大しました。  第二次大戦中のナチスの犯罪に対してニュールンベルグ裁判では、「国家の方針に従っただけ」という医師の...主張2016年10月25日
  • 【主張】なぜ、保育園に入れないのか――小学校に入学できない子はいない 認可保育所への入所を希望したのに入れなかった子が、「厚生省の調べ」でも6年連続で2万人を超え、これ以外に育休延長や認可園以外に預けたなどの「隠れ待機児」が6万7,354人いると、今年4月に公表された。満足して安全に過ごせない子が、認可園に入所を希望した子だけでも9万人もいるという深刻な事態である。  実は、これには自営業や、祖父母との同居や、今...主張広報部2016年10月15日
  • 【主張】参加国の主権を奪うTPP 国連人権委員会はTPP離脱を勧告  国連は食料自主権という言葉を提唱している。全地球的に飢餓が蔓延しており、各国は食料の増産に努め、干ばつ、水害、動乱などによる飢餓から、自国民を守らなければならないという考えだ。食料の自給率がすでに40%以下となっている日本は、経済力にまかせて食料を買い漁っており、貧しい国々の飢餓を増強させていることを反省するべきだ。日本がTPPに参加すれば日本の...主張政策調査部2016年09月15日
  • 【主張】保険医協会への入会を訴えます  東京保険医協会は、保険医の資格を持つ医師が任意に集まった自主的な団体です。創立以来50余年が経ち、会員数も現在では5,500人に迫る団体となりました。医師が医師らしく患者さんのために尽力できるよう、患者さんの立場に立って日本の医療制度をよりよきものとして守っていくことを目的としています。  戦後70年が経ち社会状況は激変しました。いのちの尊...主張組織部PR2016年09月05日
  • 【主張】新東京都知事に望む  急きょ持ちあがった都知事選では、小池百合子氏が他候補を大きく引き離して、初の女性都知事が誕生した。  自民党の元閣僚、それも防衛大臣であったにもかかわらず、自民党の推薦が得られず、東京都連からも公認を拒否されて、無所属での苦しい闘いであったが、逆風を推進力に変えて、都民を徐々に引きつけて行ったのは見事であった。遊説は八丈島から奥多摩まで足を...主張政策調査部2016年08月25日
  • 【主張】改憲の発議はできない  第24回参院選は、最近3回の国政選挙の投票率が低下し続けていたために、投票率の50%割れが懸念されていたが、結果は54.70%だった。投票率はすこし回復したが、史上4番目の低さだった。投票率が低ければ、利益団体などが有利になり、民意を反映しにくくなる。  自民党が56議席を獲得したが、27年ぶりの単独過半数(122議席)には、1議席およばな...主張広報部2016年07月25日
  • 【主張】参議院選挙を前にして 嘘のない論戦を期待する  6月1日、通常国会が閉幕し、7月10日に投開票する参院選に向けて火蓋が切られた。  毎日新聞が5月30日におこなった調査によれば、参院選で重視する争点としては、医療と年金(25%)、アベノミクス(12%)、憲法改正(11%)などが上位を占めていた。  65歳以上の高齢者が人口の26%を占める日本では、医療と年金に関心が高いことは当然の...主張政策調査部2016年07月05日
  • 【主張】亡国の、ウソつきTPP  TPPは農業だけでなく、日本の医療も植民地化する。医薬品の特許権強化による高価格、危険な保険外診療の蔓延、営利企業の医業経営参入、下支えをする公的医療の崩壊、などが懸念されている。国連の人権委員会は2015年2月、TPP交渉参加国に対して、秘密交渉は国民の人権を無視するので、参加するべきではないと呼びかけた。  TPPは、政治や社会のしくみ...主張政策調査部2016年05月05日
  • 【主張】今次改定を振り返る 医療費削減とたたかおう  2016年度診療報酬改定は、2014年度に続く2回連続のマイナス改定となった。また内容をみると地域包括ケアシステム推進の真意である医療費削減に躍起になっているようだ。  個別の改定項目では、診察の基本である初再診料や外来管理加算の点数は据えおかれた。また、診療所の汎用点数である生化学的検査(I)の10項目以上の包括項目点数が引き下げられた。...主張政策調査部2016年04月25日
  • 【主張】第190回 通常国会にのぞむ  安全保障関連法、改正マイナンバー法などを数の力で強引に成立させて、「これからも国民に丁寧に説明する努力を続けていく」と安倍首相の記者会見で幕を閉じた前回の通常国会。しかし、憲法の規定にもとづき四分の一以上の国会議員が要請したにもかかわらず臨時国会はいっこうに開かれず3カ月が経過した。  この間、10月には環太平洋パートナーシップ(T...主張政策調査部2016年02月25日
  • 【主張】医療を壊すマイナス改定  政府は2015年12月21日、2016年度診療報酬改定の改定率について、本体はプラス0.49%、薬価と材料価格はマイナス1.52%で、全体の改定率はマイナス1.03%と発表した。  この結果、マイナス改定は2014年度に続く2回連続となった。また、前回に引き続き、薬価の引き下げ分が本体に充当されないこととなった。  2...主張政策調査部2016年01月25日
  • 【主張】逆風に立ち向かって――2015年 協会活動を振り返る  安倍政権は発足以来、国民の反対の声に耳を傾けることなく、独善的な政策を推進するため、虎視眈々と準備を行ってきた。  そして、今年はまさに、彼らの野望の幾つかが具現化してしまった年と言えよう。すなわち、安保法案の成立、新自由主義・市場原理主義を背景にしたTPPの大筋合意、共通番号制の始動、原発の再稼働などなどである。更にこの先に待っているもの...主張2015年12月25日
  • 【主張】主治医機能の名を騙る「新たな定額負担の導入」に抗議  外来の機能分化をすすめるために「主治医機能の評価」としての「地域包括診療料」が2014年の診療報酬改定で導入された。診療所と200床未満の病院が届け出可能だが、「常勤医師3名」「院内処方が原則」「24時間対応」「特定の主治医が診察したときに算定」などの施設基準や算定要件が話題となった。  2015年7月の時点で、届け出施設数は全国で93、東...主張政策調査部2015年12月05日
  • 【主張】診療報酬マイナス改定を許すな――「社会保障解体」は財界の要求  2016年度診療報酬改定をめぐり、財務省がマイナス改定を要求している。今年6月、「骨太の方針2015」の策定に際して、財政制度等審議会が提出した「建議」にも、診療報酬本体のマイナス改定を明記していた。なぜ、財務省は診療報酬の引き下げを繰り返し要求してくるのか。それは財界の要求を色濃く反映しているからである。  まず、財界の総本山、日本経団連...主張政策調査部2015年11月25日
  • 【主張】インフルエンザワクチン卸価格の値上げ 接種率の低下は何をもたらすか  予防接種の意義は、個人の感染・重症化の防止だけではない。多くの人が予防接種を受けることで集団免疫を高め、感染症のまん延を防ぐとともに子どもや高齢者、免疫不全の患者さん等の健康弱者を社会全体で守ることにある。  しかし、ワクチンを希望する人にとって大きなハードルの一つが「接種費用」だろう。  2001年から定期接種となった「高齢者インフ...主張地域医療部2015年11月15日
  • 【主張】危険を隠したTPP 国民的議論を  米国アトランタでTPP交渉を行っていた12カ国は10月4日、交渉の大筋合意を確認したと報道された。しかし12カ国の閣僚がそろってテーブルに着いたのは合計でもわずか3時間だけで、ほとんどは2国間協議の積み重ねであった。  TPPは多国籍大企業の要求を容れて、各国の経済主権を侵害する恐れが強い。バイオ医薬品のデータ保護期間を12年にして、多国籍...主張政策調査部2015年11月05日
  • 【主張】今の政治は経過を大切にしていない  東京都「こころの健康だより」2015年2月号に、統合失調症患者の手記がある。  彼女は15歳で発症。中学の卒業式の時に妄想と行動化がひどくなり入院。退院後再燃して飛び降り集中治療室。バラの花束やラブレターにはげまされて通信制高校卒業。その後、会社、授産施設、福祉施設などに勤めるが、その間に、休薬や仕事での無理、親のことでの心理的負担、などが...主張広報部2015年09月15日
  • 「平和安全法制整備法案」及び「国際平和支援法案」等の採決に反対し、廃案を求めます 2015年7月29日 参議院議員 各位 東京保険医協会 会長 拝殿 清名    貴職におかれましては、日夜国政の重責を果たされていますことに敬意を表します。当会は東京の医師5,400人で構成し、保険医の生活と権利を守り、国民の健康と医療の向上をはかることを目的に活動しています。  「平和安全法制整備法案」と「国際平和...主張2015年07月29日
  • 【主張】社会保障と軍事費を考える  「医療費の自然増と技術革新で増える歳出分を、他のどこかを削って合わせるようなことを、いつまでやっているのか」「財審(財政制度等審議会)で議論したのは、防衛費をずっとカットし続けることができるのか。申し上げたいのはこういうことなのです」  2013年2月に開かれた第5回社会保障制度改革国民会議で、社会保障費をもっとしっかり削って、軍事費にまわ...主張政策調査部2015年07月15日
  • 【主張】医療情報との紐付けを準備 危ない!!マイナンバー制度  国民共通番号(マイナンバー)は社会保障、税、災害対策を目的にして、2013年の国会で強行採決された。支払調書や銀行口座と共通番号を紐付ければ、給与所得を正確に把握できる。所得課税の最低限度額と相続税の控除額は引き下げられているので、庶民課税の強化になる。  その一方では、社会保障給付を抑制することが共通番号の目的である。国民への説明は、公平...主張政策調査部2015年07月05日
  • 世界標準のワクチンを求める ワクチンパレードにご参加を!!  2008年以降、多くのワクチンが導入された。  2013年4月よりヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、HPVワクチン、また、2014年10月からは水痘ワクチンと成人対象の肺炎球菌ワクチンが定期接種化された。さらに来年度以降にB型肝炎ワクチンが定期接種化されようとしている。  このように海外とのワクチンギャップは徐々に解消されつつある...主張地域医療部2015年06月25日
  • 【主張】はじまる「機能性表示食品」制度――命と安全には“規制”こそ必要  「機能性表示食品」制度が4月からはじまった。生鮮食品をふくむあらゆる食品(アルコール類を除く)について、「目の健康に役立つ」、「肝臓の働きを助ける」、「健康を維持する」などの効能表示が許される。治験データは必要なく、参考文献を消費者庁に届け出るだけでよい。  「機能性表示食品」は食品をまったく加工せず、特定の成分の効果を大きく言い立てること...主張政策調査部2015年06月15日
  • 【主張】新しい日米防衛のための指針(ガイドライン)――「積極的派兵主義」ではないか  安倍首相とオバマ米国大統領は4月29日に会談し、新しい「日米防衛のための指針」(ガイドライン)を発表した。ガイドラインの改定は1997年から18年ぶりになる。  指針は自衛隊が地球規模で米軍に協力し、戦闘地域の軍事支援まで行うことを明記した。日本が「海外で戦争する国」になることを、総理大臣が個人で米国に誓約したことになる。  国会無視...主張政策調査部2015年06月05日
  • 【主張】“主権者は国民である”――憲法記念日にあたって  日本国憲法は、1947年5月3日に施行された。近代立憲主義に基づく新憲法は、国家権力の濫用を抑え、個人の権利と自由を守ることを、最大の目的としている。  かつての大日本帝国憲法では、国民の権利が「臣民権利義務」に定められていたが、「権利」は為政者からの恩恵として与えられたものにすぎず、政治に関与できる範囲は限られていた。  日本国憲法...主張政策調査部2015年05月15日
  • 【主張】国民健康保険の都道府県化――医療費・社会保障費抑制が狙い  「社会保障制度改革国民会議報告書」(2013年8月)は、社会保障を「自助・共助を基本」とする制度に変質させるとともに、国保の都道府県化を病床機能報告制度・地域医療構想と一体的に推進するとした。既に都道府県化されている協会けんぽ、後期高齢者医療制度を合わせると全医療費の7割を超える。  国保の都道府県化は、国民健康保険制度を再建するのではなく...主張政策調査部2015年04月05日
  • 【主張】医療現場から見た避難計画――原発再稼働は許されない  原発直下にあった福島県大熊町の「双葉病院」が原発事故直後の混乱に巻き込まれて被った被害は、あまりにも残酷な事実だ。われわれは、原発事故が発生した場合の教訓として、東京電力福島第一原発事故後の双葉病院の避難経過を改めて検証する必要がある。  原発事故は通常の事故と違い、遠方に避難する必要がある。健康な人でも、長時間にわたる避難行動が必要であり...主張公害環境対策部2015年02月15日
  • 【主張】「地方創生」は日本を破壊する  2050年までに日本の人口は9,700万人にまで減少するという。  2014年5月、日本創成会議は「2040年に全国の半数の自治体が消滅する可能性がある」という刺激的な発表を行った。「消滅可能性都市」のことばが普及するのを見澄まして、2014年7月「国土のグランドデザイン2050」が発表され、人口減少をふまえて目指すべき、自治体のあり方が提...主張政策調査部2015年02月15日
  • 【主張】第189回通常国会に望む  国会は丁寧にわかりやすく、国民に説明する姿勢で審議を進めてほしい。かつて米軍が銃剣とブルドーザーで、沖縄県民の土地と生活を奪ったことをまねるような、強権的な政治は望まれていない。沖縄の4つの小選挙区では、自民党が議席を得られなかったことを重く見るべきだ。  先の総選挙で、自公の与党はかろうじて議席数を保ったが、勝ったという言い方はあたらない...主張政策調査部2015年01月25日
  • 【主張】2014年を振り返る オール日本の力で未来を拓こう  京都・清水寺から発信された、2014年をあらわす言葉は「税」であった。消費税増税が国民生活におおきな影を投げかけた年であったといえる。  ふつう、増税は過熱した景気を冷やすために行われる。景気が落ち込んだときには経済振興策が実施され、国費を投入して国民の所得を増加させる。生活に困窮した人たちに対しては、仕事と給与を与える政策が行われる。米国...主張2014年12月25日
  • 【主張】特定秘密保護法 12月10日施行――医師と患者の信頼関係を破壊 秘密保護法の廃止を求める  12月10日に特定秘密保護法が施行された。同法は昨年末の法案審議の段階から国民的な議論・反対運動を巻き起こした。細部を決める運用基準と政令案が本来なら10月10日に閣議決定される予定が、与党総務会での合意が取れず、10月14日にずれ込んだといういわくもある。  医療者が特に懸念するのは「特定秘密」を取り扱う者を選定する「適性評価制度」である...主張政策調査部2014年12月05日
  • 【主張】医療事故調査制度をめぐって――真の意味での「医療安全」を  2014年6月、通常国会で医療事故調査制度創設を含んだ医療法改定案が可決され、10月末、実際の運用を規定するガイドラインを策定するための「医療事故調査制度の施行に係る検討会」が発足した。  いよいよ医療事故調査制度の問題も剣ヶ峰、最終コーナーを回った。  医療事故調査にかかわる事例の歴史を振り返ってみよう。1990年代に全国の病院で単...主張勤務医委員会主張・談話解説・コラム2014年11月25日
  • 【主張】“消費税”再増税は最悪の選択だ  4月に消費税が8%に引き上げられてから7カ月以上経過した。総務省の家計調査消費水準指数は4月以降落ち込み、9月まで低迷したままである。輸出も増加せず貿易赤字が拡大、設備投資も既存設備の更新投資水準に留まっている。また、「頼みの綱」の公共工事も予算化されながら実施されない「未消化工事高」が増加している。これらは景気が後退局面に入っていることを示して...主張政策調査部2014年11月15日
  • 【主張】日弁連『意見書』を踏まえて 指導・監査制度の改善を求める  保険診療を行う保険医や保険医療機関には法律や規則を遵守し、医療保険制度が円滑に運用されるように行政による「個別指導」が、また「不正」や「著しい不当」が疑われる場合に指定の取り消しなど行政上の措置を前提に「監査」が行われる。  個別指導ではあくまで「保険診療の取り扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを主眼とし懇切丁寧に...主張審査指導対策部2014年10月05日
  • 【主張】新規認定打ち切り、有料化を許すな!! 引き続きぜん息医療費の助成を  東京都知事は、猪瀬氏から舛添知事に代わった。しかし、今夏「東京公害患者と家族の会」(以下、患者会)が、ぜん息医療費助成制度見直しの撤回を求めて東京都と行った交渉では、昨年10月に東京都が示した方針に変わりがないとの回答であった。  すなわち、新規の認定申請の受付は2015年3月31日限りで終了し、2018年度以降は助成を3分の1に減らす予定...主張公害環境対策部2014年09月25日
  • 【主張】病床機能報告と地域医療構想――医療現場の声に即した再編こそ必要  厚労省は百年に一度ともいえる「病床大再編」を着々とすすめている。先の国会で成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」(医療法・介護保険法等一括改正法案)で、具体的な方向性が示された。  この方向性は、短期的な方針ではなく、厚労省としてかなり以前から着々と準備してきたことがうかがえる。この...主張病院有床診部2014年08月25日
  • 【主張】大企業が「稼ぐ」ため社会保障を削る ――「骨太の方針」「日本再興戦略」「規制改革実施計画」の閣議決定  6月24日、政府は「経済財政運営と改革の基本指針」(骨太の方針)と、これと一体的な関係にある「日本再興戦略」(成長戦略)の改訂、ならびに「規制改革実施計画」を閣議決定した。  政府はアベノミクスにより「日本経済が力強さを取り戻しつつある」、「経済の好循環が動き始めた」と自画自賛しながら、この「好循環」を引き続き回転させていくためには、「『稼...主張政策調査部2014年07月15日
  • 【主張】昨年の風疹流行から学ぶ  昨シーズン(2012~2013年)、日本は各地で近年にない風疹の流行に見舞われました。今年に入り流行地域であった関東・関西・鹿児島以外の地域でもCRS児が産まれています。2004年時の風疹流行経験からCRS問題もわかっていたことで、迅速な対応がなされなかったことは悲劇といえるでしょう。  2014年4月から風疹対策として血液検査による抗体検...主張地域医療部2014年07月05日
  • 集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を撤回せよ 2014年7月4日 内閣総理大臣  安倍 晋三 殿 東京保険医協会 会長 拝殿 清名    7月1日、政府は集団的自衛権行使を認める閣議決定をした。これまで安倍首相は「強い日本」、「日米同盟強化」を掲げ、憲法の全面改定、そして96条の改定を打ち出し、国家安全保障会議の設置、特定秘密保護法の成立、武器輸出三原則の見直し...主張政策調査部2014年07月04日
  • 福島「県民健康調査」から見えてくるもの――子どもたちの甲状腺検査を  原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康調査」の検討委員会は2014年5月19日福島市で開かれ、事故後2014年4月までにみつかった甲状腺がんの「確定」と細胞診により「強く疑われる」子どもの数の合計が、県内全体で90人(1万人あたり3人)にものぼると報告した。  そのうえ、今年度の検査は茨城、新潟県境の福島県内では「比較的被...主張広報部2014年06月25日
  • 法律制定の根拠はもはや崩れている――「医療・介護総合法案」の強行採決に抗議する 2014年6月19日 東京保険医協会 会長 拝殿 清名    6月18日、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(以下、総合法案)」は、国民の命と健康に係る重大な法案であるにもかかわらず、わずかな審議時間のまま、参議院本会議で採決が強行され成立した。われわれはこの暴挙に満身の怒りをこめ...主張2014年06月19日
  • 【主張】「選択療養」と「非営利ホールディングカンパニー」は危ない――国民を実験動物扱い  日本の医療は最高だというWHOの評価がある。安価に長寿を達成しているという意味でうれしい。ところが病院の内部を覗いた海外からの視察者は、少なすぎる職員が長時間超過重労働の下、「さながら聖職者のように、献身的に支えている」と驚く。  国内で批判的にみる人は、入院ベッドが多すぎる、薬代の比重が高すぎる、検査料が高い、受診待ちの時間が長い、などと...主張政策調査部2014年06月05日
  • 混合診療を解禁する「選択療養」制度に反対する 2014年4月23日 東京保険医協会 会長 拝殿 清名 政策調査部長 須田 昭夫    規制改革会議は、混合診療を大幅に拡大する「選択療養」制度を提案した。この「選択療養」制度は、患者と医師が契約すれば、任意の自由診療を保険診療と併用できるようにするもので、混合診療の全面解禁にひとしい。有効性、安全性、価格の妥当性が保証されない医...主張2014年04月23日
  • 【主張】いのち、健康を儲けの対象に――医療・介護総合法案の問題点  いま国会に提出されている「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」は、医療法の改定にとどまらず、介護保険法、高齢者医療確保法、そのほかあらゆる医療資格にかかわる法律をも改変しようとするものだ。  その目的はまず、医療費を抑制するための医療・介護の供給体制改編、次いで医療事故調査制度の導入による行...主張政策調査部2014年04月05日
  • 【主張】暮らしやすい東京へ――新都知事に期待する  新都知事には元厚労相の舛添要一氏が選出された。舛添氏は「原発に依存しない社会をつくる」と言いながら、「再稼働は政府が決めること」と原発再稼働を容認する発言をした。しかし日本は施策の8割以上で自治体が国に先行すると言われ、都民が圧倒的に原発廃止を求めている東京都の役割は大きい。脱原発は国民一人ひとりに問われる良心の問題でもあり、舛添氏は都民の期待に...主張2014年02月25日
  • 【主張】7万7,000人が利用「ぜん息医療費全額助成制度」を存続せよ  2007年に東京大気汚染訴訟が東京高裁で和解。国、東京都、自動車メーカーおよび首都高速会社が財源を拠出し、都のぜん息医療費助成制度が発足した。  現在、18歳以上の7万7,000人の患者が認定を受けて健康保険の自己負担が無料化されている。18歳未満の方は、既にマル都の制度がある。従って、現在の助成制度は、18歳以降も連続して助成の対象になる...主張公害環境対策部2014年02月05日
  • 【主張】実質マイナス改定に断固抗議する  安倍内閣は2013年12月20日、次回診療報酬の改定について、14年4月の消費税増税に伴う医療機関の負担増を補填する部分を除いて実質的にマイナスとすることを決めた。マイナス改定は6年ぶりとなる。  今次改定では、本体部分を0.73%引き上げる一方、薬価は0.63%引き下げ、全体で0.1%引き上げるとしている。しかし、これには消費増税補填分1...主張研究部2014年01月25日
  • 【主張】会員の力を結集し、未来を拓こう――2013年の協会活動を振り返る  東京保険医協会にとって、今年は創立50周年を迎えた節目の年であった。7人の侍から始まった当協会は、国民の健康と医療の向上のためには、保険医の生活と権利が守られなければならないと考え、今日まで行動してきた。創立50周年で会員5,300人の大台に上ったということは、協会がいかに期待されているかということであり、協会執行部はさらに重責を感じざるを得ない...主張声明・談話2013年12月25日
  • 【主張】風しん排除・CRS根絶のために  今回の風しんの流行は2012年秋より始まり、発生数は減少していますが終息の見通しは立っていません。現在CDC(米国疾病予防管理センター)より勧告を受けている日本はオリンピック開催までに風しんを排除できるのか非常に危うい状況であることは明らかです。  妊娠予備軍である女子中学生から、流行の担い手である男女幼児へ接種の対象を変更したことにより、...主張地域医療部2013年11月15日
  • 国家戦略特区法案に反対する 2013年11月14日 東京保険医協会 政策調査部長 須田 昭夫  いま、日本の医療供給体制は危機を迎えている。救急医療、小児医療、周産期医療、がん医療など、各科にわたる医師不足、看護師不足は深刻であり、東日本震災被災地域をはじめ、国民医療を守るために医療供給体制の整備・拡充は緊急の課題である。にもかかわらず、国は貴重な医療資源を医療・健...主張政策調査部2013年11月14日
  • 【主張】社会保障改革プログラム法案 介護保険の改悪を許すな  政府は、医療・介護・年金・保育などの社会保障制度全般を改悪するスケジュールおよび内容を示した「社会保障改革プログラム法案」を、10月15日に召集された臨時国会に提出した。実際の改悪は個別分野の法律を改定することにより実施される。  介護分野の制度改悪は、医療に先行して2014年の通常国会に介護保険法「改正」案を提出し、第6期介護保険事業計画...主張政策調査部2013年11月05日
  • 【主張】地球上の全生物のために――原発汚染水・事故処理  福島第一原発からの放射能漏れが危機的状況である。7月には地下水から高濃度の放射性物質が海に流出していることを指摘された。8月19日には120リットルの水溜りが、高濃度汚染水300トンの海洋流出の疑いに発展した。水溜りの空間放射線量は「毎時100ミリシーベルト」、2日間で50%の人が死亡する量に達する。タンク内のトリチウム濃度は二百数十万ベクレルだ...主張政策調査部2013年10月15日
  • 【主張】消費税増税を中止せよ  安倍首相は、2014年4月からの社会保障一体改革による消費税増税に踏み切る意向を固めた。政府は景気への影響に配慮し、消費税2%分に相当する5兆円規模の経済対策の検討に入った。これらは公共事業が中心になるとみられ、「増収分は全額、社会保障費に充てる」という増税の口実は早々と反故にされた格好だ。  2012年の就業構造基本調査(7月総務省)によ...主張経営税務部2013年09月25日
  • 【主張】生きづらい社会でいいのか  社会保障制度改革国民会議の最終報告を受けて、安倍政権は介護、医療、年金、保育の諸制度を改変する手順を、8月21日に閣議決定した。秋の臨時国会に「プログラム法案」として提出される。詳細は右表に示した通りであるが、社会保障の全面的な改悪であり、人が人らしく生きられる社会が、また遠くなる。  介護保険では要支援1・2に該当する150万人を保険給付...主張政策調査部2013年09月15日
  • 【主張】協会の運動実る――支払基金、病名漏れ再審査請求を受付へ  『医事新報』2013年5月4日号、89ページをご覧になった先生方は驚かれたのではないか。「診療報酬の病名漏れの扱い」と題して支払基金本部の見解が載っていたが、その内容は「医療機関からの病名漏れを理由とする再審査請求については、症状の経過等について医療機関から客観的な検査データ等に基づいた詳細な説明がなされ、病態が確認できる場合は、これを参考に再審...主張審査指導対策部2013年09月05日
  • 【主張】医療事故調 全国一つの第三者機関設置――“責任追及型”に強い懸念  厚労省は5月29日に開催された「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」の第13回会議で、医療側の意見を無視するようなやり方で、なかば強引に結論を取りまとめた。厚労省は、医療事故の調査を行う『第三者機関』を設置し、全医療機関に「診療行為に関連した予期しない死亡事例」の第三者機関への届出を義務付ける内容の医療法改定案を今秋の臨時国会に...主張勤務医委員会主張・談話2013年07月25日
  • 【主張】信じる一票を投じよう  自民党は6月20日「参院選公約2013」を発表した。「原発再稼働」、「消費増税」、「TPP」、「憲法改定」などに前のめりである。民主党は2009年の衆議院選挙において原発、消費税、TPP、米軍基地強化の4項目すべてに反対する公約を掲げたが、選挙後にはことごとく推進側にまわって国民の怒りを買った。そのため2012年の衆院選挙では、はじめから推進側に...主張政策調査部2013年07月15日
  • 【主張】憲法は誰のものか――改憲派・護憲派「96条守れ」で一致  近代国家は憲法を定め、時の為政者の権力から国民を守り、国政方針の安易な変更を避ける政治を選んでいる。これは立憲主義と呼ばれている。憲法は国家の基本的な条件を定めた根本法であり、国家の統治権、主要な機関が守るべき大原則を定めた最高法規として、他の法律・命令によって変更されることがなく、変えにくいことが特徴だ。  国政の目的は何をおいても、国民...主張政策調査部2013年07月05日
  • 【主張】医療の営利化は命の格差を生む  米国政府は日本の公的医療保険制度を非関税障壁とみなし、長年にわたってその変更を求めてきた。米国の要求は多岐にわたるが、自由診療の全面解禁、営利企業の病院経営、民間医療保険の市場拡大、医薬品・医療機器の自由価格販売など、医療をビジネスとみなして営利主義を持ち込もうとしている。これらは、世界一効率的に健康と長寿を達成しているとWHOが評価する日本の医...主張政策調査部2013年06月25日
  • 【主張】生命保険による「現物給付」――皆保険を空洞化させる民間保険「直接支払い方式」 「直接支払い方式」で「現物給付」解禁  生命保険による「現物給付」をめぐる動きが風雲急を告げている。民間保険が国民皆保険制度に風穴を開けようとしているのだ。  4月4日に開かれた保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループでは、金融庁が「直接支払い方式」を認める方針に傾いた。  現在、生命保険の「現物給付」は、加...主張政策調査部2013年05月15日
  • 【主張】ひもづけ・名寄せ・集約 一目でわかるマイナンバー法の危険  3月1日、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法案が閣議決定され国会に提出された。番号を個人にふり(付番)各行政機関に別々に置かれていたデータを中継システム経由(ひもづけ)で集約するものだ。税務においては、複数の取引から同じ番号のデータを集め(名寄せ)もれなく徴税でき、社会保障面では弱者把握に役...主張政策調査部2013年04月25日
  • 【主張】生活保護法見直し 医療機関への指導強化は的外れ  厚労省はこれまで生活保護の「医療扶助」適正化に向け、レセプト審査や保護世帯への受診指導を重点としてきたが、今後は医療機関に対する指導・監査を強化する。特に請求内容に疑義がある場合は個別指導を行う方針である。さらに改正法案では、生保医療で不正を行った場合の生保指定医療機関の取り消し要件も盛り込まれている。  「医療扶助」においては入院費が6割...主張政策調査部2013年04月15日
  • 【主張】社会保障制度改革国民会議 国民不在で負担増を推進――参院選で厳しい審判を 国民会議で社会保障の解体を論議  昨年、8月10日、「社会保障と税一体改革」を実現させるため、消費増税法案などとともに、社会保障制度改革推進法案が参院本会議で可決された。  この社会保障改革推進法は、社会保障制度への公費負担を削減し、国民が支払う保険料で賄う保険制度へと変質させる。給付を削減して費用負担を国民に課す、いわば社会保障制度解...主張政策調査部2013年03月25日
  • 【主張】休業保障の募集再開 今こそ「休保」の出番だ  「今、ご自身が倒れたら医院はどうなりますか…」  決して脅し文句ではない。私たちの宿命だ。従業員の給与、患家への対応、リース、融資返済、テナント料、家族…。廻るのは最悪の事態ばかり。かつて、神奈川県の保険医が病に臥せ、遂には生活保護を受給する事態が生じた。  各県で発足したばかりの保険医協会に突きつけられた大事件だった。1969年に保...主張共済部2013年02月25日
  • 【主張】税制改正に敏感であれ――消費税「損税」解消に声を上げよう  2013年度税制改正大綱(1月29日閣議決定)は、医療機関の「消費税損税」について一切触れなかった。自民党税制調査会では「適切な措置を講ずる」と明言していたこともあり、医療界を大きく失望させた。  消費税は、モノやサービスなどの「価格」に課税されるため、「誰が負担するか」は問題にならない。診療報酬が「非課税」であるため、医療機関は仕入れや設...主張経営税務部2013年02月15日
  • 【主張】新都知事にのぞむ 433万票は白紙委任ではない――山積の課題を都民視点で見直せ  尖閣諸島買い取り発言による政治的混乱の中、石原慎太郎都知事が2年半の任期を残して辞任した。2012年12月に行われた都知事選挙は猪瀬直樹氏の圧勝となった。石原前都知事が猪瀬氏を後継者に指名したことと、同時に衆院選が行われて混乱したために、都知事選はまともな政策論争もなく終了した感がある。今後は一つ一つの問題をていねいに論じていくことが必要だろう。...主張政策調査部2013年01月25日
  • 【主張】09年 勤務医委員会の活動 現場に依拠し、信頼構築を目標に  2008年11月15日、第1回勤務医委員会を経て勤務医委員会の活動が始まった。  この委員会は勤務医だけの権利を主張する会ではない。「東京保険医協会勤務医委員会申し合わせ事項」の目的では、開業医と勤務医が手を取り合って協力し医療崩壊をくい止める運動に取り組むことを強調している。事実、開業医の先生方にも委員になっていただいて貴重な意見が出てい...主張勤務医委員会主張・談話2009年03月05日
  • 03年を振り返って今年を振り返ってみると、保険医療関係での最大ニュースは何と言っても健保本人3割負担の実施と薬剤1部負担金の廃止だと思います。健保本人3割負担は、実施前に当時の4野党が共同で凍結法案の提出を行うも、与党側の抵抗で厚生労働委員会での審議すらされずに廃案になってしまったという、大変残念な結果で実施されてしまいました。 東京保険医協会も全国保険医団体連合...主張2003年12月25日
  • これ以上、医療従事者に犠牲を強いるな! 更なるマイナス改定に抗議する次期診療報酬改定について、財務省から最低4%引き下げが提示された。消費者物価指数マイナス1.0%、人事院勧告マイナス4.9%を機械的に当てはめると3%程度のマイナス改定になるというのがその根拠である。 前回のマイナス改定により、2002年の医療費は0.7%減となった。2001年はプラス3.2%の自然増があり、本来同程度の自然増が見込まれれば、20...主張2003年12月05日
  • 「引き下げ」を前提とする診療報酬改定論議は本末転倒11月13日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は2004年度診療報酬改定で、技術料など本体部分の3%も含め、最低限4%程度の引き下げ方針を示した。さらに医療機関の収入増や経営効率化の観点を踏まえれば、5%の引き下げも可能だとしている。 9月末に出された財務省主計局の「診療報酬・薬価改定の論点(未定稿)」に対し、遅ればせながら、10月はじめに厚...主張2003年11月25日
  • 【高額医療費】償還率が85%に上昇 協会の運動が反映協会の調査によると、老人高額医療費の昨年10月分の償還率が85%に上昇していることが判明した。 調査は9九月から10月にかけて、都内全62区市町村に対して電話・FAXにより問い合わせを行い判明したもの。協会では5月にも同調査を行ったが(第1次調査)、その際の償還率は、回答のあった自治体22区市平均で63.9%であり、今回の調査(第2次調査)では約...主張2003年11月05日
  • 政官財の癒着に拍車をかける日本経団連の献金再開日本経団連は、9月25日、「『優先政策事項』と『政策評価に基づく企業の政治寄付の意義』について」という意見書を発表、93年に廃止した政党への政治献金あっせんを事実上再開する方針を決めた。 献金再開に当たって日本経団連は、自民党1極集中ではなく、民主党にも配分し、2大政党制を目指す方向で検討を進めていると伝えられている。総選挙を前に、民主党は自由党...主張2003年11月05日
  • 小泉「改革」は長続きしない総選挙が10月28日公示、11月9日投票で行われることになった。久々に2大政党時代の到来といった記事がマスコミを賑わしている。民主党をはじめ各党のマニフェスト花ざかりだ。 自民党も7項目からなる政権公約を発表した。それによると、思い切って経済を活性化させ06年度までに国内総生産(GDP)の名目2%成長を実現し、530万人の雇用創出プログラムを達成...主張2003年10月25日
  • インフルエンザ流行期を迎え差し迫ったSARS対策 SARSに就いては、過去当紙でも取り上げてはいるが、インフルエンザ流行シーズンを間近に控え、再度問題点を整理をしたい。ポイントは三点。     SARSに終息宣言は出たが、絶滅宣言ではない。再流行もあり得る。     患者は隔離が絶対必要、(疑わしきは、接触回避せよ)。開業医は診るな。     初期段階ではインフルエンザとの鑑別...主張2003年10月15日
  • 乳がんマンモグラフィー検診導入に厚労省の積極的責任を求める厚労省は、視触診による乳がん検診は有効性が低いとした同省の研究班報告を無視し、「従来の方針を改めるべき理由は見当たらない」として、報告から5年半もの間、改善を怠ってきた。 ところが本年9月、視触診による乳がん検診で誤診され余命半年と宣告された39歳女性の、文字通り命をかけた直訴に、厚労省はようやく重い腰を上げた。乳がん検診へのマンモグラフィー全面...主張2003年10月05日
  • 自民党総裁選に再選された小泉首相は医療改悪の源流である小泉首相が自民党総裁に再選された。2年前に自民党をぶっ壊すといって立ち上がったが、今度も巧みな手法でそれを一歩進めた感がある。 総裁選と内閣改造、解散、次期衆参両院選挙をセットにして選択・支持を迫る戦略が効いた、とみるのが妥当だろう。人心撹乱術という方法は、よく小泉氏と類似していると言われる戦国時代の織田信長も用いたであろうか。このあたり相当にし...主張2003年09月25日
  • 来年度予算概算要求基準 社会保障費2200億円削減政府は8月1日の閣議で、2004年度予算概算要求基準(シーリング)を了承した。医療や年金などの社会保障関係費について、04年度の自然増分は9100億円と見込まれていたが、今回の概算要求基準では6871億円増に抑えられたため、厚生労働省はその差額約2200億円の縮減策を年末までにまとめようとしている。 このうち、年金額を消費者物価の下落に連動して引...主張2003年09月05日
  • 731部隊の爪痕 忘却への警鐘今月4日、黒龍江省チチハル市内の建設現場で毒ガスの入った金属容器が見つかった。その溶剤によって、37人が入院、うち数人が危篤状態となっている。旧日本軍の遺留の毒物と考えられている。 人々の記憶から戦争の恐ろしさが薄れていく中で、8月のこの時期、突如、忘却に対する警鐘を鳴らすように起こった事件である。 この場所は、第2次世界大戦中、関東軍防疫...主張2003年08月25日
  • 精神科領域における社会的入院の解消厚生労働省は昨年末、全国で7万2000人にのぼる精神障害の「社会的入院」患者を、10年間で全員退院させる計画を策定した。マスコミの調査によれば、これに対して59都道府県・政令市の約7割が「目標達成は厳しい」と受け止めている。自治体の多くは予算や人手の不足を理由に、退院患者の支援体制が不十分であるとした。 ところが、そうした現実とはまったく逆に、厚...主張2003年07月25日
  • 必要な医療・福祉政策の充実 来年度都予算に対する協会の要求わが国の経済不況は依然として出口が見えず、都民の生活はますます窮迫してきている。東京都が昨年11月に発表した『都民生活に関する世論調査』によると、暮らし向きが昨年に比べて「苦しくなった」が37%、これから1年間の暮らし向きについては、「苦しくなる」と答えた人が38%で、その理由は「営業不振などで給料や収益が増えない、または減った」が57%で最も多い。ま...主張2003年07月15日
  • 国保を改善し皆保険制度を守ろう国保料を払えない世帯が急増している。 滞納世帯は、昨年6月1日、ついに400万世帯(国保世帯総数の18.8%)を超えた。また、正規の被保険者証が渡らず資格証明証などが発行されている世帯は100万(滞納になっている世帯の25%)を突破するに至っている。 「滞納」を理由にした被保険者証の取り上げという制裁措置がとられ、そのために病院にかかれず、...主張2003年07月05日
  • 国民の受療権を損なう患者負担の引き上げ1961年国民皆保険達成以後、一部負担については紆余曲折を経て、ついには健保本人○割を実現していた。しかしながら、1984年10月の健保法改定により健保本人の1割負担が導入された。さらに1997年9月の改定では、2割負担と薬剤1部負担金制度が導入された。ただし、1984年の健保法改定で、将来的には国保も健保本人と同じ「2割」として給付率を統一することが...主張2003年06月25日
  • 小児初期救急医療の現状と改善策少子化、核家族化等が進行している影響で育児不安が増えている。そして、女性の社会進出に伴い準夜間、休日における小児医療への要望が高まっている。一方で、小児科医や小児科を標傍する医療機関が実質的に減少する傾向で、小児の初期救急医療需要に対応できない状況にある。小児救急医療の充実・強化は関係者が協力して取り組むべき緊急の課題となっている。 小児科を開業...主張2003年06月15日
  • 有事法制と医療政府・与党は、有事法制関連3法案の今国会での強行採決を目指しているが、その内容にはいくつかの問題がある。第1にこの法案は明らかに違法違反である。「有事」を一日南き入れてしまったら基本的人権は完全に剥奪され、国民に対して憲法の力は及ばなくなる可能性がある。この法案は検討するにしても、十分、時間をとった議論が必要である。 第2に、規則というものは、法...主張2003年06月05日
  • 小泉首相の即時退陣を求める小泉内閣が発足して2年が過ぎた。「改革なくして成長なし」と叫んで首相の座についたときの公約は沢山あった。国債発行の30兆円厳守、特殊法人改革、2ないし3年以内の不良債券処理、2004年の景気回復、1内閣1閣僚などなど。これらは殆どうまくいっていない。閣僚入れ替えはやったし、163あった法人は17廃止しただけ。国債発行は国債整理基金から2兆5,000億を...主張2003年05月25日
  • 「混合診療」は医療を荒廃させる 必要なのは制度充実による経済の活性化今年3月、厚労省をはじめとする各省庁から「医療制度改革」に関わるいくつかの提案があった。経済の逼迫が続くなか厚労省以外の、財政とかかわりの深い経済財政諮問会議や総合規制改革会議なども声高に「財政ありき」の公的な医療費抑制案を提出した。 3月28日に出された厚労省の「医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針」では「患者のニーズの多様化や医療...主張2003年05月05日
  • 持区における株式会社の病院 経営参入の一部解禁について構造改革特別区域計画として、地方自治体などから申請された57件が「第1弾」認定分として決定されるなど、特区構想による地域からの「構造改革」が進められている。病院経営への株式会社の参入についても、小泉内閣は保険の効かない自由診療のみ解禁することを決め、そのために6月中にも医療法改正をまとめようとしている。 今回の自由診療のみ解禁の政府方針につきひと...主張2003年04月25日
  • 統一地方選挙にあたって 石原都政を検証するいよいよ統一地方選挙が始まりました。4月から5月にかけ全自治体のはぼ3割で選挙が行われます。地方選はひいては国政の行方を占う選挙でもあります。いま、国民生活は疲弊し切っています。一日も早く景気を回復させ、国民生活を守ることが国政でも地方政治でも最優先課題といえるでしょう。 小泉内閣が発足して2年近くなりますが景気は悪くなる一方で、被雇用者の所得は...主張2003年04月05日
  • ひらがな書きに改められた健康保険法の問題点 日本国憲法に根ざした新・健康保険法の制定をわが国の医療保険制度の基本的法律である健康保険法は、大正11年高橋是構内閣時に「過激社会運動取締法」と抱き合わせで上程され、制定された。つまりアメとムチの政策である。この国家本位・官僚主義的な法律は新憲法下も生き続け、昨年8月までは、カタカナ文語表記の古めかしいスタイルであった。昨年本人3割に負担増を強行した健保法の一部改定時に、さらりとひらがな口語体...主張2003年03月25日
  • 4野党の「凍結法案」について昨年6月に衆院厚労委で強行採決されて以来、私たちは反対運動を続けていたが、越年してから一気に緊迫した状況になった。野党4党が一致して「健康保険法改正案(棟結法案)」を2月12日に提出し、4師会も共同声明を発表、同12日を闘争日として読売新聞全面広告や街頭宣伝を行うなど奮闘している。マスコミでも連日「3割負担」の攻防が取り上げられるようになり、世論も高揚...主張2003年03月15日
  • 今次確定申告にあたって 国民への還元なくして誰のための税金か健保3割負担の凍結をもとめ短期決戦の運動が展開されている中、今年も2月17日から確定申告の受付が始まった。年間の収入を嫌でも見直す時期である。 昨年は、4月から初の診療報酬マイナス改定、老人の負担を増加させた10月の健保法・老健法改定、外来総合診療料の廃止と、軒並み減収を誘引する政策ばかりが施行されたが、減収要因はこれだけではない。社保の編てつ一...主張2003年03月05日
  • 米国商務省通商代表部などの医療分野への規制緩和圧力小泉内閣による医療制度抜本改悪が急速に展開しはじめた2002年度。もうひとつ見逃せない問題は、米国商務省通商代表部(USTR)や在日米国商工会議所(ACCJ)が軌を一にして日本の医療制度改革や規制緩和を求めてきていることである。包括的な医療改革に関する「首相直轄の協議会」設置や市場原理を医療分野に導入させる病院経営への株式会社参入などを求めることで、日...主張2003年02月25日
  • 医薬品医療機器総合機構は機能するのか薬害エイズ事件をはじめとする種々の薬害を教訓として、旧厚生省薬務局の機構改革が行われたが、その間にも医薬品の安全性に関しては様々の問題が取り沙汰されてきた。ごく最近も、抗がん剤イレッサ(ゲフィニチフ)による副作用死の多発が社会問題となっている。 この薬剤は昨年7月に厚労省が世界に先駆けて承認し、わが国で販売されはじめたにもかかわらず、昨年末の時点...主張2003年02月15日
  • 米国によるイラクヘの軍事行動を危惧する米国ではイラクヘの攻撃準備を急ぐブッシュ米政権と、これに同調するブレア英政権に対し、与野党を含めた広範な戦争反対の声が上がっている。 米英を除く国連安保理事国フランス、ロシア、中国も賛成していない。こうした最中ブッシュ大統領は1月28日、一般教書演説で、イラクや北朝鮮などの「無法者政権」が「米国と世界が直面する最も重大な危機」だとし、イラクに対し...主張2003年02月05日
  • 4師会の共同声明を歓迎する昨年12月11日、日本看護協会が加わった4師会は、健保本人3割負担の実施凍結、高齢者の自己負担軽減、医療への株式会社参入阻止、混合診療の導入反対を掲げ、連携して国民運動を展開するとの声明を発表した。さらに、12月20日の官邸、厚労省、自民党への要請行動に続いて、12月24日には銀座数寄屋橋、有楽町東京圏際フォーラム付近で街頭宣伝活動を行った。ちなみに当...主張2003年01月25日
  • 2002を振り返って米国の利己主義、独善が露骨になり、大分鼻についてきた。昨年9月の同時テロ以降、アフガニスタンからいつのまにか攻撃目標はイラクになってしまっている。しかも国連での米国の姿勢を見ていると、他国の考えや立場はお構いなしで、傲慢としか思えない。 温暖化防止策に対する姿勢と併せ評価すると、米国の本質が透けてくる。東西冷戦が終了したことは実に喜ばしい限りだが...主張2002年12月25日
  • 「患者になれない病人」を出さないために 緊急に低所得者の負担軽減策を在宅患者から「1万円の負担金は払えないから、酸素を止めてほしい」、別の末期癌の患者は「お金がない。痛いのは我慢するから痛み止めの薬(内服の塩酸モルヒネ)は、もういらない」と悲痛な声が相次いでいる。10月から老人・高齢受給者の負担金が1割または2割の完全定率制に変更され、医療費が嵩む老人から悲鳴である。 一部負担金の完全定率化で、何よりも心配だった...主張2002年12月05日
  • 安易な長期投与は避けよう ~必要な一部負担の引き下げと診療報酬の再改定~今年4月の点数改定であまり目立たなかったが、10月からの老人等の一部負担金改定と相俟って、ひそやかに、しかし大きな影響が出始めているのが、薬剤投与日数の上限の撤廃である。ご承知のように麻薬・向精神薬・薬価基準収載1年以内の薬剤を除き、内服薬、外用薬は投与日数の上限が廃止され「主治医が必要と予見する期間」とされた。 すでに大学病院等の200床以上の...主張2002年11月25日
  • 「構造改革特別区域」構想について 医療機関への営利企業参入に反対する景気の底ばいが続き、一向に回復の兆しが見えない日本の経済不況下で、経済活性化の起爆剤として「特区」構想が俄かに活発化している。政府は「構造改革特別区域」の設置を目指して、7月に首相を長とする「構造改革特区推進本部」を発足させ、10月18日から始まった臨時国会に「構造改革特区法案」を上程するという。地方自治体や民間から積実のあったすべての規制改革事項につ...主張2002年11月05日
  • 東京都医療費助成制度の改悪に抗議する健保法・老健法の10月改定がついに実施された。先の強行採決以来、国民への周知は殆どなく、情報も乏しいため現場も患者も混乱し、協会主催の説明会には予想を大きく上回り、会場から溢れんばかりに参加者が押し寄せた。 老人医療対象者は定額制廃止により1割か2割負担となり、窓口負担は青天井に徴収され、月額負担上限を超えた分は患者の申請による償還払い制となった...主張2002年10月25日
  • 患者の大病院外来指向を検討する 外来診療は身近な医療機関で-寄らば大樹の陰-大病院の外来は相変わらず混んでいる。風邪を引いた患者が3時間待ちなどということもあって、かえって具合が悪くなるのではと心配になってしまう。どうして患者はそんなに大病院指向なのだろうか。 日本I・B・M(株)営業部門職員の斎藤実氏が1998年に札幌市内の大学付属病院等で出口調査を行い144人の回答を考察した結果を紹介したい。そのな...主張2002年10月15日
  • 来年度東京都予算に対する協会の請願(要求)について東京都各部局では来年度予算編成が始まっている。協会は要求をまとめ、都知事、福祉局、健康局、病院経営本部に対して135項目からなる「2003年度東京都予算に関する請願」を提出した。「請願」では、医療費助成制度の拡充や一般健診・がん検診の充実、個別指導時の録音許可、慢性肝炎等への医療費助成継続、麻疹への公費対象者の拡大等を重点的に訴えている。 既に福...主張2002年09月25日
  • 全医師が団結して日本の医療制度を守ろう4月の診療報酬改定による影響の調査結果が出た。健康保険制度発足以来、初のマイナス改定の上に、深刻化する不況による受診抑制が重くのしかかった結果となった。 日医総研のデータによれば、総点数で3.86%、総件数2.13%、総日数3.81%のマイナスになった。当然、診療所、中小病院が軒並みマイナスだが、大病院のみ外来医療費がわずかにプラスになった。これ...主張2002年09月15日
  • 外来総合診療料の廃止と老人定率負担化による影響医学的なニーズが多様化し受診状況も変わり、医療も専門分化しているなかで、1人の患者の診療が1医療機関では対応しきれない事例が増えてきた。診療報酬は本来、1医療機関ごとの出来高算定であるべきで、これにより現在の受診状況等にも対応できるものである。 しかし、1996年の点数改定で老人慢性疾患外来総合診療料(以下外来総合と表示)が設定された頃から、患者...主張2002年09月05日
  • 今次国会を振り返って小泉首相が政権を担って1年余。 「まったなし」とばかりに、与党は健康保険法関連法を強行採決し、成立させてしまった。国会での審議は実に不十分なものであった。衆参両院の厚生労働委員会では審議を半ばにして強行採決し、参院本会議で与党単独採決という異例尽くし。国民の声をないがしろにした90余時間(衆参両院委員会)の審議であった。 昨秋の臨時国会では...主張2002年08月25日
  • 主病名記載通知の撤回を「記載せずとも罰則なし」初の診療報酬マイナス改定に苦慮している医療機関に、追い討ちをかけるように舞い込んだ一片の医療課長通知に、多くの医師たちは憤りを覚えた。 3月25日付けの主病名記載通知は、地区医師会を通じて3月末に伝達された。主病名の定義に関する疑問が噴出し、「主病名は原則としてひとつ」という内容に、医師たちは混乱した。高齢者は複数の慢性、難治性疾患を有するという...主張2002年07月25日
  • 診療報酬の再改定を求める政府・厚労省は健保制度史上初めての診療報酬マイナス改定を断行した。政府の発表では、医療本体でマイナス1.3%、薬価でマイナス1.4%、全体ではマイナス2.7%となっているが、4月、5月のレセプトを見ると、公称を上まわる引き下げとの実感がぬぐえない。 協会は5月14日に内科、整形外科、精神・神経科、耳鼻咽喉科、眼科を標榜する10床以下の開業医会員1...主張2002年07月15日
  • 病んだ国政にメスを防衛、有事、憲法第9条をめぐる議論については様々な立場があろう。しかし、「防衛庁リスト問題」とその後の見苦しい対応や、福田官房長官の「非核3原則見直し発言」等々をみる限り、国の信頼度は地に落ちたという他ない。 思想信条の別はさておくとしても、こうした状況にあっては有事関連3法案や個人情報保護法案などを論議する前提が既に崩れているといわざるを得ない...主張2002年07月05日
  • 健康増進法案の問題点「厚生労働白書」のサブタイトルは「生涯にわたり個人の自立を支援する厚生労働行政」であった。今回、健保法改正案とともに国会に上程されている「健康増進法案」は、この流れに沿って、自立自助を強調し、国の責任を後退させている点で、注目に値する。 目的として第1条に「国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定める」としていて、予防、公衆衛生全般に...主張2002年06月25日
  • 日本の活力を削ぐ健保法等「改正」案健康保険法等改正案が厚生労働委員会(衆院)で審議されている。 有事関連3法案や個人情報保護法案等々多くの重要法案を抱え、さらに、政治家の数々の疑惑により、野党側の抵抗も強く、厚生労働委員会ばかりか国会での審議全体が遅々として進んでいなかった。5月29日、委員会審議が再開されたものの、重要法案の審議時間は、30~40時間を必要とするため、健康保険法...主張2002年06月05日
  • 医学的根拠のない新点数に抗議し、断固、再改定を求める「再診料が4回目から半分」「器具による消炎鎮痛等処置も5回目から半分」「後発医薬品を含む処方箋は2点高くなる」等々-2002年4月点数改定は、医学的に何の根拠もない驚きの内容である。特に再診料と消炎鎮痛等処置などで改定の影響を大きく受けた整形外科では、公称2.7%の10倍、20%以上の引き下げとなった医療機関もある。 以前の点数改定では、看護要員...主張2002年05月25日
  • 子どもたちの未来を考える数年前、デンマークの学校教育を視察し、全校自転車マラソンを知る。この行事は順位を競うのではなく、教師がペースメーカーとして走り、生徒はそれを参考に自分の判断で力の配分して完走を目指すというのだ。子どもが「それぞれの生き方がある」ことを学ぶという意味で感銘を受けた。 保育園を運営して毎日のように子どもたち(とくに乳児)と接すると、診察室で見るときと...主張2002年05月15日
  • 国民医療を切り下げる診療報酬のマイナス改定今回の診療報酬改定では、再診料、処方せん料、消炎鎮痛等処置、理学療法など繁用の点数が引き下げられ、実算的な引き下げ幅は公称を遥かに上回り、無茶苦茶な引き下げになっている。とりわけ整形外科の診療所では2~3割の減収になり、診療所の存続を危ぶむ声さえ出されている始末である。 診療報酬は国家予算審議の中で、政府与党、経済財政諮問会議、財務省、経営諸団体...主張2002年04月05日
  • 東京都は慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームに対する医療費助成を存続すべきである東京都は、慢性肝炎と肝硬変・ヘパトームを都難病患者医療費助成制度の対象疾病からはずし、本年10月以降、医療費の助成を止めようとしており、この疾患で助成を受けている3万1000人に不安と動揺、怒りが湧き起こっている。 都は経過措置として3年間、住民税非課税世帯に対しては通院・入院とも現行制度を適用し、ウイルス肝炎対策として入院のみを対象にした新たな...主張2002年03月25日
  • 小泉医療構造改革にNOの声を健保本人3割増が明記された医療制度改革関連法案が、ついに上程された。医療制度改革は、小泉首相の持論「三方一両損」がごり押しされた格好となった。その結果、医療機関は、史上初の診頼朝酬本体の引き下げとなり、国民は高齢者医療の負担増や、健保本人3割負担への引き上げ、政管健保においては保険料率の引き上げと総報酬制が盛り込まれ、実質的な保険料引き上げだ。 ...主張2002年03月15日
  • 実質、青天井の老人外来負担額医療保険改革のひとつとして、老人患者の外来自己負担を大幅に増額する健康保険法等改定案が国会に上程されようとしている。案では定額制は廃止され、完全1割定率負担となるが、自己負担限度額が二転三転している。最新の案では高額所得者(夫婦2人世帯で年収630万円、単身世帯で年収380万円以上・高齢者の12%が該当)が4万200円、一般(住民税課税世帯・高齢者の5...主張2002年02月25日
  • 実態を反映しない医療経済実態調査昨年12月「医療経済実態調査」(以下実調)の速報値が公表された。2年前と同様、一般新聞に「開業医の平均月収249万円」「サラリーマンの5倍」などという見出しが踊った。 しかし、個人開業医の「収支差額」は単純な生活費ではない。所得税などの税金の支払い、事業用借入金の返済、国民医療を支える医療機関の維持・改善のための設備投資資金など各種準備金の積立な...主張2002年02月15日
  • 患者負担増で医療費を減らせるのか超高齢社会に備え持続可能な公的医療保険制度を構築するという大儀のためといって、政府は度重なる患者負担増を繰り返してきた。そしてついに、患者負担原則3三割という公的医療保障制度を有する諸外国には顆を見ない高負担を提案している。 しかし、患者負担を増やしても国民総医療費は増え続けており、患者負担増という手法は医療費抑制に有効な手立てではない。以下にそ...主張2002年02月05日
  • 三方一両損の怪小泉首相は「三方一両損」といって、国民同士で痛みを分かち合えといっているが、実は落語のハナシの筋を誤解しているのだ。国が相応の金を出して解決するというのが本筋なのだ。 国の財政逼迫の源泉の一端に迫る試みをしてみたい。国の財政逼迫の原因は、やはり自民党の長期政権と対米依存の政治スタイル、また政策に対してその結果への無責任さに尽きるようだ。 赤...主張2002年01月25日
  • 2001年を振り返って 今年は大きな出来事として、ひとつは、自民党総裁選挙で小泉氏が自民党を変えるということをスローガンに掲げて総裁に選ばれ、その後の参院選挙で国民の圧倒的な支持を得たこと。そしてその後、小泉構造改革の一環で医療改革の具体案が示された事である。またふたつめは、9月に、ニューヨークでテロ事件が起こり、その後報復戦争が行われつつあることが上げられよう。 医療...主張2001年12月25日
  • 医療費総枠規制の問題点 「医療制度改革試案」が9月25日に発表された。「試案」は「少子高齢社会に対応した医療制度の実現に向けて、広く国民の論議に供するため、厚生労働省がまとめたものであり、2002年度予算編成までに成案作成、次期通常国会に提出。実施は2002年10月費目指す」としている。この試案の根幹を貫いているものは、来年度実施は見送られたものの、医療費総マルメ制ともいえる...主張2001年12月15日
  • 無謀な長期入院患者の保険外し 9月26日に中医協診療報酬基本問題小委員会に出された長期入院の医療保険外しの案は、医療保険適用の療養病床に長期入院している患者さんの自己負担を大幅に増やすことによって、医療保険での入院が続けられなくしてしまうという今までにない手法で、いわゆる「社会的入院」を無くそうとするもので、まったく実情を無視した乱暴なものである。 厚生労働省は医療保険適用の...主張2001年11月25日
  • 「試案」医療機関と患者に痛み強要 反対の大きな世論を早急に 小泉首相流の「構造改革」を具体化した、厚労省発表の「医療保険制度改革試案」に対する広汎な国民的批判が高まりつつある。 政府は、「聖域なき構造改革」の風を背景に、「三方一両損で痛みを分かち合ってもらう」とさかんに宣伝し始めている。患者も大きな負担増になるのだから、医療機関も「痛みを受けろ」という論法である。 その中味は医療機関と患者のみに大き...主張2001年11月15日
  • 狂牛病対策への不安 種の壁を越えた感染 狂牛病(BSE)の原因は異常プリオン(感染性タンパク)にあり、原則的には正常プリオンをもつすべての生物に感染する可能性があるといわれる。人間ではクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)が同じ脳疾患に当たるといわれるが、狂牛病から感染したものでは発病年齢が低く、運動異常が前景にあり痴呆の発症は比較的遅いことから、新型CJDとされた。...主張2001年11月05日
  • 財政構造の転換で医療制度の充実を小泉「改革断行」の筆頭は、まず医療、ついで福祉、教育といわれてきた。いま年末の2002年度予算編成に向けて「医療改革」作業が急がれているところだ。厚生労働省は9月25日、医療制度改革試案を発表、これを受けて9月28日、社会保障審議会医療保険部会が開かれ、また10月4日には財務省主計局が厚労省案では不充分として更に厳しい独自の見解を出した。関連して9月2...主張2001年10月25日
  • 株式会社の参入はどこが問題か 医療は生命・健康に直接かかわる公共性を持ったサービスであり、それゆえに医療の非営利原則が貫かれ、医療法でも株式会社の参入は禁じられている。しかし2001年3月に閣議决定された規制改革推進3カ年計画で、規制緩和による営利企業の医療機関参入が提起され、われわれにとっても避けて通れない問題となった。 ちなみに、日経ヘルスケアのアンケートでは、27%の開...主張2001年10月15日
  • 憎しみと暴力の連鎖は望まない 卑劣なテロ行為に怒り、糾弾する。そして、テロを繰り返させてはならない。しかし、そのことと、報復戦争を認めるということとは別である。戦争で傷つくのは、一般市民と子どもたちである。 戦争の悲惨さは、広島・長崎の原爆、ベトナム戦争の枯葉剤、イラクでの劣化ウランの使用などを挙げるまでもない。罪もない市民や子どもたちが命を失うばかりでなく、生き延びても奇形...主張2001年10月05日
  • 健保組合一次審査の動き ―保険者機能の強化を考える― 「レセプト審査 民間に開放」―9月中旬の一般紙にこうした見出しが踊った。厚生労働省の医療制度改革骨子案の内容を報道したものであった。 すでに7月に出された、小泉首相の諮問機関「総合規制改革会議」の中間取りまとめに、「保険者と医療機関の直接契約、健保組合などによるレセプトの直接審査・支払い、その業務の営利企業への...主張2001年09月25日
  • 医療費総枠制と医療構造改革で明日が拓けるのか 経済財政諮問会議は「基本方針」のなかで、医療費総額の抑制を打ち出し、患者負担増、保険者と医療機関の直接契約、営利企業による医療機関経営、自費と保険の混合診療により公的保険の給付範囲を縮小するなど、皆保険制度の根幹さえ崩す方向を示した。 この方針を受けて、来年度政府予算の概算要求では、医療の自然増分を2800億円削減する方針が決められた。国庫負担割...主張2001年09月15日
  • 国保 資格証明書発行の問題点 本年4月1日より、特別なケースを除き、国保料を1年以上滞納した世帯の国保証を取り上げ「資格証明書」を交付することが「義務化」された。 58年に発足した国民健康保険法は、61年に全国の市町村で実施され、国民皆保険制度の原動力となったのだが、83年には国庫補助率の削減、86年には資格証明書の発行が「できる」という省令の制定、88年には医療費抑制と収納...主張2001年09月05日
  • 危険な混合診療容認の姿勢 保険医療を破壊する「混合診療緩和」論、「自立投資」論に断固反対する立場が本年3月の保団連理事会で既に承認されている。 では、今なぜ混合診療に反対しなければならないのか。今までの混合診療の歴史を顧みながらその問題点を明らかにし、混合診療に対する我々の立場を明確にしたい。 保険診療を蝕む「混合診療」拡大の歴史 現在の保険診療では特定療養費...主張2001年08月25日
  • 小泉医療構造改革の中味 小泉内閣の高支持率が続き、「骨太方針」と称する「構造改革」が進められつつある。この「構造改革」の方向性を打ち出したのが、経済財政諮問会議が6月21日に答申した「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(以下:基本方針)」である。基本方針は6月26日閣議決定され、小泉内閣の正式方針になった。 「構造改革」の意味は明確だ。景気回復を図...主張2001年07月25日
  • ハンセン病隔離政策への反省 国の控訴断念にみる分かりにくさ 本年5月11日、熊本地裁はハンセン病原告団体に国の賠償金支払いを命じる判決を下した。これに対し自民党と1部の官僚が控訴する姿勢を示したが、控訴予定日の前日になって突然、総理大臣は断念の決断を下す。患者団体の抗議や世論の攻勢に対する妥協なのか、あるいは参議院選挙をまえにしての人気取りであるのか、いずれにしても国の...主張2001年07月15日
  • 小泉首相は医療現場の認識を 先日の都議選で圧勝した自民党・与党は勢いを駆ってますます政策実行を推し進めるだろう。特に小泉首相は医療改革に並々ならぬ意欲を燃やしている。それは97年、氏が厚生大臣の時に出した「21世紀の医療保険制度・厚生省案」の発表の時の主役だったことでも明らかだ。 この案の特徴はふたつの点にあった。ひとつは患者への負担増と給付の制限で、もう一つは政管健保への...主張2001年07月05日
  • 本紙、協会運動に大きな役割 責任を痛感、一層の改善へ努力 東京保険医新聞は毎月3回発行し、発行部数は5800部、さらに年4回PR版を1万6000部発行している。また、東京保険医新聞は、「保灰医の生活と権利を守り、国民医療の充実・向上を図る」ことを目的として編集している。保険医のための言論の広栃である。機関紙として、「協会の方針及ぴ活動状況を報道し、会員の結束を図る。不偏小党を信条とし、真実に基づき速やかに医事...主張2001年06月25日
  • 都議会選挙に望む東京都議会議員選挙が間近にせまっている。東京の医療・福祉はこの4年間で、どのように変わったのだろうか。高齢者、障害者、小児、公害医療に限って挙げてみても、実に15項目にも渡る切り捨て、切り下げが行われた。制度の廃止、本人負担の導入等さまざまな型で都民が負担を強いられている。 東京都老人医療費助成制度(マル福)は、対象年齢が漸次繰り上げられ、200...主張2001年06月15日
  • 薬害エイズ裁判と731部隊 地裁判決に控訴決定 1996年、薬害エイズ事件で逮捕された安部英(元帝京大副学長)に、本年3月28日、東京地裁は「無罪」判決を言い渡した。すでに昨年2月24日、旧ミドリ十字の歴代3社長に対しては大阪地裁が実刑判決を下しており、本年9月には厚生省ルートで起訴された松村被告(元厚生省課長)に判決が下る予定となっている。戦後の日本で繰り返された薬害...主張2001年06月05日
  • 小児救急医療の緊急整備を子どもの日の新聞は、15歳未満児の総人口に占める比率が14.4%と戦後最低と報じた。 子どもが減り続け、総医師数は少しだが増えているのに、小児の救急医療がなぜこんなにも深刻化しているのか?理由は、供給側と需要側の変化とそのアンバランスである。 小児科を標榜する一般病院が1990年、同診療所が1981年をピークに減り続けている。子どもの数が減...主張2001年05月05日
  • 介護保険施行1年 国民の期待に応えているか 介護保険が実施されてから1年が経過した。 公的介護保険と名付けられ、国民の多大の期待を集めて発足した制度ではあったが、実質は「措置」から「契約」への大転換で、しかも拙速に行われたために、現場はかなり混乱した。 主要な問題点をあげると、先ず要介護認定では「痴呆者が低目にでる」という点が明白になつた。判定方法の見直しとともに、痴呆者介護のあり方...主張2001年04月25日
  • 都の医療・福祉切り捨てに抗議する 東京都の医療費助成条例の改悪と2000年度予算が3月30日に都議会本会議で可決され、成立した。これによって高齢者、障害者などの医療福祉施策は大幅に後退することになる。 老人医療費助成(マル福)は、若干の経過措置が設けられたものの、6年で全廃される。経過措置は現在64歳の人は66歳から、63歳の人は67歳から助成対象にするというものであり、現在62...主張2001年04月15日
  • 新たな峰を目指して 会員5000人の協会へ2001年3月1日現在、東京保険医協会は、会員4500人に達し、都医A会員比は46%に到達しました。 政府は赤字財政を理由に、社会保障・医療福祉を次から次へと切り捨て、石原都政もまた、老人医療費助成制度をはじめとして、障害者医療、ひとり親医療、難病医療、精神障害者への医療費助成、老人福祉手当等の切り捨てを強行しました。 憲法25条は、国民の...主張2001年04月05日
  • 外形標準課税導入は反対である医療機関を巡る税制に関して、最近2つの気になる動向がある。ひとつは「損税」の拡大であり、もうひとつは事業税の新たな提案である。 昨年6月首相の諮問機関である政府税制調査会は、21世紀初めの日本における税制の方向を展望したという「わが国の税制の現状と課題~21世紀に向けた国民の参加と選択」と題した「中期答申」を発表した。 その基本線は、税収だ...主張2001年03月25日
  • 第63回定時総会 現状を直視し、未来へ向けての意見交換や討論にご参加下さいきたる3月24日には当協会の総会が行われます。本欄は会員諸氏のご出席をお願いしたく筆をとる次第です。 当協会の歴史は38年になります。その揺籃の頃から現在に至るまで、実に多くの人々の力を結集して成長してきました。 ここで第2次大戦後の日本での医療保険の出来事を駆け足で見てみたいと思います。 1946年、片山内閣成立、GHQが国保への大...主張2001年03月15日
  • 今次確定申告にあたって確定申告にもパソコンが導入され始め、申告者にとってはパソコンによる記帳が可能になった。パソコンは、現金がマイナスで表示されたり、何が経費で何が収入か判別されないなど、ただそれだけに依拠することは危険だが、入力に間違いがなければ元帳の作成や各種集計表が正確に作れるなど、上手に利用すると大変便利であり、有効である。 一方、国税庁にとってはKSKシステ...主張2001年03月05日
  • 小児科医療とメンタルケア昨今は厳しい世相を反映して、内科医が多くの心身症の患者を診ている。実際、「どんな薬を使っても訴えがとれないので、スルピリドを使ったら症状が消失した」など、薬物療法だけで対応できるケースも多い。一方、小児科は薬よりもカウンセリングに重点をおくことから、手間がかかり、一般診療と別の診療が求められる。 小児の場合は言語化できない年齢であればなおさらに、...主張2001年02月25日
  • 都民の目線に立った予算編成を東京都の2001年度予算原案が発表された。この予算原案は、昨年強行された医療・福祉切り捨てを本格的に実行する予算になっている。 老人医療費助成(マル福)は新規に対象になる人がいなくなり、対象年齢は66歳~69歳になる。老人福祉手当は、5万5000円だったものが今年度4万1250円に減らされ、さらに来年度は2万6500円となり、2002年度からは廃...主張2001年02月15日
  • 相次ぐ公害訴訟勝利に思う大気汚染は工場排煙などの固定発生源と、クルマ排ガスなどの移動発生源により引き起こされる。 高度成長時代は4日市公害のような排煙を主とした裁判があり、それぞれ住民側が勝利したが、その後クルマ社会の到来と共に、排煙排ガスを含めた大気汚染が問題となり、現在では排ガスが主力となっている。 68年大阪西淀で、82年川崎で、さらに88年尼崎で、89年名...主張2001年02月05日
  • 医療保険改悪は、消費不況をさらに助長する今年もどうやら景気の低迷が続きそうだ。テレビでは、財界人や閣僚、経済評論家たちが、景気浮上策をまくし立てている。IT革命だ、住宅減税だ、住宅取得の贈与税減税だ、物価は下がって実質賃金は増えている。だから庶民は財布の紐を緩めて景気をよくしてくれ、という。しかし先行き不安から個人の金融資産は増えて、買い控えの消費不況は続いている。 この消費不況は、3...主張2001年01月25日
  • 2000年をふりかえる 今年四月に発足した介護保険制度は私たち開業保険医に少なからぬ影響をもたらしている。介護の現場から様々なエピソードが伝えられてきている。とにかく老人医療費の入院分は激減した。急性疾患を除けば老人の入院分の医療費はほとんどゼロになる勘定だ。国や健保組合側にとっては大きな朗報といえよう。一方、国民にとっては大きな負担増になっている。地域の会合で何度か介護制度...主張2000年12月25日
  • 研修環境の整備を求める―第4次医療法改正から― 第4次医療法改正の大きな狙いのひとつに「卒後臨床研修の必修化」がある。そのポイントは卒後2年以上の臨床研修(歯科は1年)を義務づけるもので、診療所の開設者や病院の管理者になるためには、この研修の終了が必須である。 厚生省の方針として卒後研修の義務化が包括的に出てきたのは1987年の「国民医療総合対策本部報告」が最初だ。この報告は日本の医療・福祉に...主張2000年11月25日
  • 薬剤効能と保険適用―アスピリンの効能追加から― 開発から百年の歴史を持つ解熱鎮痛剤「アスピリン」が、狭心症や脳梗塞などの再発を予防する薬として今年中にも保険適用される見とおしとなった。 欧米では、アスピリンの血栓抑制効果を確かめる臨床試験が行われ、米国は2年前に効能を追加した。日本では海外の情報をもとに今までは、保険診療で例外的に「アスピリン」が使用されてきた。そのために関係学会が厚生省に正式...主張2000年11月15日
  • 受診抑制が狙いの老人定率負担 衆議院解散で廃案となった健保法等改定案が国会に再提出された。政府は、来年1月1日施行を目指して今臨時国会での成立を図ろうとしている。 今回の改定案では、高齢者の患者負担を原則一割とし、1.診療所の場合は1割負担で上限3000円(院外処方の場合は、医療機関と薬局で、それぞれ上限1500円)または、一回800円×4回まで徴収の選択制とする2.200床...主張2000年10月25日
  • 混合診療容認の動きと皆保険制度 ようやくアスピリンが狭心症や脳梗塞の保険適応薬として承認された。しかし、胃がんとの強い関連が認められているヘリコバクターピロリ菌の検査や治療が今だ保険適応になっていない(菌の発見からすでに15年が経過し、米国では1997年2月承認済み。わが国でもようやく承認の見通し)。同じように脊椎管狭窄症による神経根障害にはプロスタグランディンE1製剤が有効なことは...主張2000年10月15日
  • 来年度都予算に望む 9月から障害者医療費助成制度(マル障)が改定された。住民税課税者に対しては、国の老人医療とほぼ同じ負担となり、都の負担は大幅に軽減される。2000年度予算(本年度予算)では、マル障など東京都医療費助成制度全般に渡り引下げられた形となり、福祉が大幅に切り捨てられた。福祉切捨ての影響額は450億円、経過措置終了後(マル福は6年)は、年間1000億円に及び、...主張2000年09月25日
  • 老いを生きる 9月15日は老人の日である。この祝日には、高齢者の苦労した人生を、ねぎらう意味があるのではないか。 長命になることは、一概に喜ばしい側面ばかりではない。むしろ姨捨山の話にあるように、人間が年を加えていくと、社会のために貢献する能力が落ちてくる面がある。例えば工場で生産に励む旋盤工も、30年経てば、いろいろと体の故障を訴え、慢性疾患に悩む人も多い。決...主張2000年09月15日
  • 東京ER構想と都立病院の役割 石原東京都知事は、東京発「医療改革」と称して、東京ER(総合救急診療科)構想などを発表し、都議会でも大きな論議になっている。この構想は、日本の医療には「透明性」「信頼性」「効率性」が不足しているとして、「365日24時間の安心」「患者中心の医療」を掲げ、東京から日本の医療を変える「東京発の医療改革」を実現するなどと称するもので、この一環として東京ER(...主張2000年09月05日